英国「Auto Express」によるMG6の試乗レポートを日本語で紹介します。


MG6

ようやく、魅力のあるMGが誕生したのかもしれない。MG6は昔のMGの象徴でもあるオープンカーではないのだが、それでもかつてのMGの血統を感じさせるようなスポーティーさは持っている。

MG6は2017年に中国市場で発売されたローウェ(栄威)i6をベースとしており、ガソリン車とプラグインハイブリッドの2種類のモデルが設定される。レーシングカー風のフラットボトムステアリングや赤いアクセントの入ったインテリアを見て、これまでのMG車にはなかった期待感を抱いた。

今回は中国国内のサーキットという限られた環境で試乗したのだが、1.5Lターボエンジンを搭載するMG6が俊敏で元気の良い車であるということは分かった。7速DCTは低速域ではクイックで変速も滑らかなのだが、急加速時には少し反応の遅れも感じた。ステアリングは軽すぎるのだが、グリップは十分にあり、おかげで十分に楽しく運転できた。

ただ残念なことに、欠点もたくさんある。地味なi6と比べると見た目はましなのだが、それでもなお個性は欠けている。全体的なデザインは20年前の日本車の寄せ集めのようだ。個性的な部分はボンネットの曲面とMGの「スターライダー」グリルくらいしかない。

rear

インテリアは見た目はそこそこ良いのだが、質感は残念だ。試乗車にはレッドレザーシートが装備されており、この質感は悪くなかったのだが、ダッシュボード上部やドアには硬いプラスチックが多用されている。赤いステッチの入ったステアリングやカーボンファイバー調のプラスチックは悪くないのだが、全体的な印象はややチープだ。

装備内容はかなり充実しており、360度カメラやボイスコントロールなども装備されている。安全装備として、6エアバッグや自動緊急ブレーキ、車線逸脱警報なども付いている。

リアシートには大人が余裕を持って座れるだけの空間がある。センターコンソール後部にはリアシート用のエアコン吹出口やUSB充電口も付いている。荷室も十分に広いのだが、試乗車のパーセルシェルフは既に壊れていた。

短時間ながらPHEVのeMG6にも試乗できた。外見は標準車とほぼ変わらず、SUVのMG ZSと共通の1.0L 3気筒ターボエンジンと83PSの電気モーターを組み合わせる。モーターのみで53km走行可能で、この点はフォルクスワーゲン・ゴルフGTEと同等だ。ただし、同じ中国製のBYD 泰Proは性能は同等ながらモーターのみで100km走行可能だ。

interior

意外なことにPHEVのほうが1.5Tよりも遅い。eMG6には17インチホイールが装着されていたのだが、操作性は大して変わらなかった。エンジンとモーターの協調は上手くいっており、切り替わりの衝撃もほとんど感じなかった。

MG6の走行性能は十分に高かったのだが、それ以外の部分に欠点が多かった。インテリアの質感は欧州車には太刀打ちできない。とはいえ、PHEVの設定は魅力と言えるだろう。