英国「Auto Express」によるSRT バイパ〜の試乗レポートを日本語で紹介します。


Viper

新しいバイパーはかなり熟成されている。新型モデルはこれまでのバイパーとは違い、快適性や実用性、質感も高い。昔のような荒っぽさがないことを悲しむ人もいるかもしれないが、この車の本質は依然として変わらない。残念ながらヨーロッパでの発売予定はないのだが、きっと個人輸入する猛者もたくさん出てくるだろう。

バイパーといえば世界でも指折りの危険なパフォーマンスカーで、大排気量V10エンジンを搭載し、後輪駆動で、スタビリティコントロールすら装備されていなかった。

しかし、新型バイパーはやや手懐けられており、扱いやすい車となっている。またそれに合わせ、車名も「ダッジ・バイパー」から「SRT バイパー」に変わっている。SRTはストリート&レーシングテクノロジーの頭文字を取ったもので、クライスラーの高性能ブランドだ。そして新型バイパーにはナビや上質な内装、そしてクルーズコントロールまで奢られている。

もちろん、変わっていない部分も多い。8.4Lという大排気量のV10エンジンを搭載し、排気管はフロントドアのすぐ後ろから出ている。見た目もこれまでのバイパー同様に大迫力だ。試乗車はボディカラーがブライトイエローで黒のストライプが入っており、他のどんな車と並べても目立つことだろう。長いボンネット、リアスポイラー、そして低い車高。いずれもこれまでのバイパーの伝統に則っている。

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昔のバイパーのインテリアは質素で安っぽかったのだが、新型では大きな変貌を遂げている。ステッチの入ったレザー、ソフトな樹脂、高機能なディスプレイ。いずれも約75,000ポンドという価格に見合った完成度だ。

その走りは昔と変わらず官能的だ。スタートボタンを押せば640PSのV10エンジンが轟音を上げ、車全体が振動する。うるさくて荒っぽい音は洗練されたイタリア製スーパーカーの音とはまったくの別物なのだが、だからこそバイパーらしい。

なにより性能は圧倒的だ。アクセルを踏み込み、1速、2速と変速していけば、0-100km/h加速をおよそ3.5秒でこなすことができる。最高速度は332km/hだ。

しかし、従来型と比べると洗練されている部分もある。例えば、サスペンションはかなりソフトになっている。そのため、標準サスペンションは日常使用時にはかなり快適になっている。トラクションコントロールが標準装備されたのでコーナーから抜け出すたびに緊張する必要もなくなった。

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ステアリングを少し切った状態でアクセルを踏んでもそう簡単にリアが滑り出すことはなくなった。もちろん、トラクションコントロールはオフにすることもできるのだが、その状態でもグリップ性能は高い。

全体的に見て、新型バイパーは従来よりも実用的で扱いやすく、アメリカでの販売価格が65,000ポンド程度からであることを考慮すれば、かなりお買い得に思える。

ただし、イギリスの消費者にとってはそれほどの魅力はない。そもそも、ヨーロッパへの正規輸入の予定はないし、個人輸入すれば輸送費や税金などでさらに10万ポンドほど高くなってしまうかもしれない。それに言うまでもなく、左ハンドルしか設定されない。こういった点も考慮すれば、同等性能で安価に購入できる日産 GT-Rを選ぶ人がほとんどだろう。

それでも、個人輸入でバイパーを手に入れる猛者はいるだろう。彼らだけがイギリスでは希少なバイパーの獰猛な走りを楽しむことができる。