米国「Car and Driver」によるシボレー・カマロV6の試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2009年当時のものです。


Camaro

カマロ復活にあたってシボレーが回帰しようとしたのは、2代目以降の演出過剰なカマロではなく、1967年に登場した初代モデルだ。シボレーは初代カマロのシャープさ、クリーンさをできる限り再現しようと努力した。

GMから燃費やら価格やらさまざまな宣伝文句を聞かされた後、ようやく実車と対面することとなった。今回試乗したのはベースグレードなのだが、これも十分にパワフルで印象的な車だ。

V6モデルは直噴DOHCエンジンを搭載し、リアサスペンションはマルチリンク式で、トランスミッションはAT(GM製)、MT(アイシン製)ともに6速だ。このスペックだけ見ると都会的な高級セダンのようにも思えるのだが、V6エンジンは最高出力308PSを発揮し、0-100km/h加速5.9秒(MT車)、0-400m加速14.5秒(159km/h)を記録する。

この数字は決して驚異的というほどではないのだが、車重1,727kgのカマロV6は同じV6のフォード・マスタングやダッジ・チャレンジャーよりもずっと速い。もちろん、マスタングV8やチャレンジャーSRT8よりは遅いし、0-400m加速では1秒近く差をつけられてしまう。

rear

カマロは走行安定性が高く、路面の衝撃もほとんど伝わってこない。シャシはマスタングほど硬くはないのだが、チャレンジャーよりはよっぽど応答性が高く、車幅はカマロとチャレンジャーでほとんど変わらないのだが、運転してみるとカマロのほうが小さく感じる。

今回は2種類のタイヤを試した。AT車は18インチホイールおよびBFグッドリッチ Traction T/Aを履いており、MT車は19インチホイールおよびピレリ P ZERO NEROを履いていた。タイヤ幅はいずれも245mmだった。ちなみにRSパッケージでは20インチも選択できる。

2台のうちでは18インチ車のほうが好印象で、こちらのほうがステアフィールは良好で、ハンドリングも直感的だ。ただ、どちらのタイヤでもターンイン性能は高く、わずかなアンダーステアはあるものの、スロットル操作で簡単に制御できる。

甲高い排気音はやや場違いな感じがしたのだが、エンジンは応答性が高くて滑らかだ。とはいえ、やはりV8の轟音が恋しくなってしまう気持ちもある。

interior

カマロには406PSと432PSの6.2L V8エンジンも設定されるのだが、V6よりは高価だ。V6は22,995ドルとカマロの中では安いのだが、エンジン、サスペンション、トランスミッションはいずれも最新設計なので、かなりコストがかかっているだろう。カマロに搭載されるV6エンジンはキャデラック CTS(37,855ドル)と共通で、サスペンションは基本的にポンティアック G8(27,995ドル)と共通だ。

V6のフォード・マスタングおよびダッジ・チャレンジャーはいずれも最安モデルが21,000ドルから22,000ドル程度で、ヒュンダイ・ジェネシスクーペの4気筒ターボモデルは22,750ドルだ。いずれもカマロよりは安い。

とはいえ、競合車に勝っている部分もある。乗り心地はマスタングとは比較にならないほど快適だし、カマロと比較するとチャレンジャーのハンドリングはかなり不安定に感じる。新型カマロはポニーカーというよりは先進的なスポーツクーペに近いかもしれない。

新型カマロV6は競合車のV6以上、V8以下という中途半端な立ち位置にあるのだが、それでもカマロの伝統に則った車に仕上がっている。


2010 Chevrolet Camaro V-6