英国「Auto Express」によるトヨタ・プリウス、フォルクスワーゲン・ゴルフGTE、フォード・モンデオハイブリッドの比較試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2016年当時のものです。


Prius Mondeo Golf

トヨタ・プリウスが自動車市場に大きな影響を与えたのは間違いない。さまざまなメーカーがハイブリッドカーのパイオニアであるプリウスのあとに続き、トヨタは長い年月をかけてハイブリッドシステムを熟成させていった。

プリウスは4世代目となり、独創的なスタイリングとより効率的なハイブリッドシステム、完全新設計のプラットフォームを手に入れ、走行性能を向上している。しかし、今では初代プリウスが誕生した1997年当時とは比較にならないほど競合車が増えている。今回は4代目プリウスと2台の競合車を比較した。

フォード・モンデオ ハイブリッドはプリウス同様CVTを搭載するハイブリッドカーなのだが、通常のモンデオ同様、オーソドックスな4ドアセダンだ。また、ハイブリッドシステムはプリウスよりも強力で、価格も今回テストしたプリウスの最上級グレードより安い。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTEはプラグインハイブリッドで、価格も他の2台より高い。しかし経済性は高く、またホットハッチにも負けないようなハンドリング性能も兼ね備えている。


ボディサイズ
プリウスとモンデオを並べてみると、2台のボディサイズの差がはっきりと分かる。ハイブリッド専用車であるプリウスのほうがコンパクトなのだが、それでいて荷室や室内空間はプリウスのほうが広い。

ゴルフとモンデオはハイブリッドシステムが荷室に侵食しているため、通常のガソリン車やディーゼル車よりも実用性は劣る。


運転支援装備
プリウスとゴルフGTEにはアダプティブクルーズコントロールが標準装備され、モンデオにも450ポンドのオプションとして設定される。この3台の中ではゴルフのシステムが最も使いやすかった。

プリウスとゴルフにはレーンキープアシストも装備されていたのだが、プリウスのシステムは少し反応が遅く、実際にキャッツアイに乗り上げるまでシステムが作動してくれない。


パッケージング
ハイブリッド専用車ではないので、ゴルフとモンデオはハイブリッド化による妥協が見られる。フォードは荷室容量と燃料タンク容量が減少しており、フォルクスワーゲンは床下収納やスペアタイヤ収納用のスペースがなくなっている。


結論
Winner: トヨタ・プリウス

Prius

今回はプリウスの勝利とした。プリウスのオールラウンダーとしての競争力は非常に高い。見た目はかなり好き嫌いがあるだろうが、パッケージングがしっかり考えられているので室内空間は広く、新設計プラットフォームのおかげで運転を楽しむこともできるようになった。ハイブリッドパワートレインの完成度も高く、街中での燃費性能は3台の中で最も高かった。

2nd: フォルクスワーゲン・ゴルフGTE

Golf GTE

ゴルフGTEの魅力は高い燃費性能とホットハッチのような楽しさだ。しかし、頻繁に充電をしなければプリウス同等の経済性を実現することはできないし、いくらホットハッチのような楽しさといっても、さすがにGTIのほうが運転するのは楽しい。税額の安さは魅力なのだが、補助金を考慮しなければ割高感は否めない。

3rd: フォード・モンデオ ハイブリッド

Mondeo Hybrid

モンデオの標準車も競合車と比べて特別優秀なわけではないのだが、ハイブリッドモデルも競争に敗れてしまう結果となった。どうしてもフォードを使わなければならない企業にとって、環境性能の高さは魅力なのだろうが、それでも現実的な燃費性能はモンデオディーゼルと大して変わらないし、標準車よりも荷室が狭くなっているので実用性も低い。