英国「WHAT CAR?」によるマツダ6 SKYACTIV-D 2.2の長期テストレポートを日本語で紹介します。


Mazda6

もともと私は長期テスト用の車としてSUVかステーションワゴンを選ぼうと思っていた。私は仕事で車の撮影を行うし、日常的に使うことを考えても、走りだけでなく室内空間の広さを重視したいと思っていたからだ。しかし私はマツダ6の見た目、特にソウルレッドクリスタルのボディカラーを纏った姿に惹かれ、あえてマツダ6のセダンを選ぶことにした。

マツダ6の走りは非常に優秀だ。撮影の仕事は朝からあることが多く、憂鬱な気分になることもあるのだが、マツダ6の快適な乗り心地のおかげで穏やかな気持ちで運転することができる。2.2Lディーゼルエンジンは力強く、高速道路の長距離移動も街中のちょっとした移動も楽々とこなせる。静粛性も高いので車内でCDを楽しむこともできる。

マニュアル車を運転するのは久し振りだったのだが、マツダ6のMTは非常に優秀だった。シフトストロークは短く、MX-5(日本名: ロードスター)のように正確で、変速していて気持ち良い。

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昔ながらのCDプレイヤーが装備されるのは嬉しいポイントだ。

セダンを運転しているとSUVのような高い視点が恋しくなるだろうと思っていたのだが、マツダ6の着座位置もそれほど低くはないので、視点の低さはそれほど気にならなかった。シートの座り心地も良く、長時間運転してもどこかが痛むようなことはほとんどなかった。

欠点についても言及しよう。ナビにはあまり上質感がなく、グラフィックはドイツ車のものと比べると精細感に欠ける。とはいえ、運転中に使いづらいタッチ操作に依存しすぎないというマツダの姿勢は素晴らしく、物理ダイヤルを使えば運転中でも簡単にメニューをいじることができる。

リアシートに友人を乗せる際にもそれほど大きな問題はなかったのだが、リアの中央席は座面が少し高くなっているのでヘッドルームに閉塞感があるし、センタートンネルの大きいので中央席は足元空間も狭い。

リアワイパーが装備されていない点も気になった。もちろん、ステーションワゴンと違って窓にはしっかり傾斜があるのでワゴンほど汚れるわけではないのだが、それでも水滴が溜まりやすく、特に土砂降りでは後方視界が悪化してしまう。

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今回、マツダ6が優秀なセダンであることは分かったのだが、またセダンに乗りたいとは思わなかった。トランクは十分に広いのだが、ワゴンと比べると開口部は狭いし位置も低いので、大量の撮影機材を載せるのは大変だった。屈んでトランクから荷物を探していると、ときどき腰痛が生じてしまった。

あくまで私個人の使い方の話なのだが、車の撮影をする際には私がカメラカーの最後端に乗って後走車の撮影を行う。カメラカーがワゴンの場合、リアシートを倒してテールゲートを開ければ問題なく撮影できる。しかしセダンの場合はそうはいかない。

もっとも、こういった問題点はかなり限定的な状況での話だ。普通の人はトランクではなく運転席に座るだろうし、日常的に三脚やライトスタンドを大量に持ち運ぶような人もほとんどいないだろう。私のような使い方をしないなら、マツダ6は快適で優秀な車だ。ただ、私のような使い方をするなら、やはりワゴンやSUVのほうが合っている。