オーストラリア「The Australian」によるテスラ モデル3の試乗レポートを日本語で紹介します。
私は個人的温暖化問題の解決に成功した。地球規模で考えればちっぽけな話なのだが、それでも電気自動車により解決したのは事実だ。そしてこの電気自動車というのが、テスラ モデル3のことだ。
テスラが日光に照らされた状態でずっと屋外に置かれていたので、私は車内温度を調べるためにスマートフォンのアプリを開いた。そこに表示された温度はなんと58℃だった。けれど、テスラにはこの車内温暖化問題を解決する策がある。
アプリを使えば遠隔でエアコンを起動させることができるため、21℃に設定してしばらく待とうと思ったのだが、10分もしないうちに車内は見事に冷え切った。しかも、エアコンの効きが良いばかりでなく、どうやら冷房を使ってもバッテリー容量はそれほど減らないようだ。この経験は私のモデル3に対する印象を大きく好転させた。
モデル3はテスラ初の”大衆車”であり、一般人にも手の届く価格の電気自動車となっている。ただし、そうはいっても最も安価なモデルの価格が68,000オーストラリアドルであり、一般人の多くが購入している普通車と比べると2倍近い値段になってしまう。BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスの最安モデルよりも高価だ。要するに、モデル3もこれまでのテスラ同様、”高級車”だ。
私はずっと、テスラの製造技術は未熟だと思っていた。実際、初期モデルの品質はかなり悪く、カリフォルニアの生産ラインを出たあとに品質の調整が必要だった。週産目標台数5,000台を実現するのは困難を極め、大幅な損失を出している。企業の存続が危ぶまれるほどの危機だった。
しかし、モデル3の製造開始から1年半が過ぎた今、状況は大きく変わっている。テスラの株価は高騰し、上海での製造も開始された。ベルリン近郊にも新工場が建設中で、新型ミドルクラスSUV「モデルY」の発売ももうすぐだ。イーロン・マスクはモデルYの販売台数がこれまでのテスラの総販売台数を超えると予測している。
テスラは2019年に30万台ものモデル3を納車した。その結果、モデル3は世界で最も売れた電気自動車となった。オーストラリアでの納車は2019年8月に始まり、すでに数千台が国内を走っている。モデル3の弧状のキャビンやガラスルーフは特徴的なので見かければすぐに分かるだろう。フロントにグリルは存在せず、ボディ表面は飾り気がない。
室内には横一直線に木目調のダッシュパネルが走っており、その上の溝がエアコン吹出口となっている。ウインカーレバーとステアリングスイッチ、そしてドアにある窓用のボタンを除いて物理スイッチは一切存在しない。すべての操作はタブレット風の大型ディスプレイで行う。内装の素材はどこもソフトでヴィーガンにも優しい設計だ。
インテリアは非常にクリーンで、カスタマイズの余地はほとんど存在しない。そこにはヒルトンのような美しさがある。Aピラーが太いので視界の邪魔になるし、ガラスルーフのせいで日光が気になることもあるのだが、いずれも致命的な問題ではない。後部座席の足元も狭いのだがこれで十分だろうし、ボンネット内の小さな収納スペースも含めると、荷室容量は542Lと十分に広い。
ダッシュボード中央の大型ディスプレイは操作性や応答性が素晴らしい。普通、どんな車でも5分もシステムを操作していれば不満を抱く。しかし、モデル3は操作中に不満を感じることはなかった。ただ、速度などの重要な情報は運転中の視界に入りやすいヘッドアップディスプレイなどに表示してほしいと感じた。また、画面が大きすぎるので手が届きにくい状況もある。
ソフトウェアとしてゲームやNetflixなども用意されており、イーロン・マスクのユーモアを感じることもできる。充電中に退屈しないような仕掛けはたくさんある。
試乗車は最上級グレードで、最も高性能なツインモーターの4WD仕様となり、最高出力480PS、最大トルク65.2kgf·mを発揮する。加速性能は非常に高く、0-100km/h加速は3.4秒を記録する。フル加速時にはフロントが少し持ち上がるため操舵力が伝わりにくくなってしまうのだが、基本的に加速は滑らかで不満はない。追い越しもたやすく、ちょっとした隙間に簡単に入り込むことができる。モーターの加速は一度体験すると中毒になってしまうだろう。
エンジン音が存在しないため、他の雑音(風切り音、軋み音、タイヤノイズ)がよりはっきりと感じられる。それに、エンジンと違って電源オンとオフの違いも直感的には分からない。しかし、いずれも慣れればそれほど問題にはならない。
モデル3の走行性能は非常に高い。シャシは走り重視のセッティングとなっており、乗り心地はやや硬めなのだが、旋回性能や直進安定性は優れている。変速やエンジン音が存在せず、ステアフィールが欠如しているという点が許容できるなら、この走りはかなり魅力的だ。それほどまでにモデル3の瞬発力ある加速や基本性能は高い。
それに、航続距離に関する不安もかなり払拭されてきている。フル充電での航続距離は欧州の基準で530kmだ。現実的にこの距離を実現するのは難しく、実際の航続距離は450km程度になるだろう。しかし、20分間の急速充電により約180km分の充電が可能だ。
モデル3は難産だったのだが、テスラは苦難を乗り越え、(高価ではあるが)素晴らしい電気自動車を生み出すことに成功した。モデル3は従来的な自動車メーカーと対等に渡り合える最初のテスラとなるだろう。今後は他の自動車メーカーからもさまざまな電気自動車が登場する予定なのだが、モデル3には電気自動車を敬遠していた人すら引き込むような魅力がある。
実際日本で走っている姿を見るとかなりカッコいいなと。モダンで近未来SFチックな所が素敵ですね。
さておき、Fordのトラック(F150,F250,F350辺り)でDeath wobbleなる現象がみられるようですが、もしこれについて記事がありましたら翻訳していただけないでしょうか。お願いいたします。
auto2014
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