ジープが米国で行うイベント「イースタージープサファリ」では毎年ジープがコンセプトカーを出展しています。

今回は、米国「MOTOR TREND」によるイースタージープサファリ出展コンセプトカー6台の試乗レポートをまとめて日本語で紹介します。


Easter Jeep Safari

53年間にわたり、ジープファン達はユタ州モアブへの聖地巡礼を続けてきた。彼らはただジープの聖地をその目で見るだけでなく、モアブの土地をジープに乗って走り回った。1967年当初、少数の地元ジープオーナーが集まるだけのイベントだったのだが、今やアメリカ中から数千人が集まる9日間のイベントにまで成長した。ここ十数年間はジープが数台のコンセプトカーを発表するのも恒例となっており、市販車開発の試金石としている。

ジープのコンセプトカーは見掛け倒しの飾りではない。合法的に走行可能な車だ。特に2019年は新型グラディエーターが登場しただけあって、コンセプトカーすべてがトラックとなっている。6台のコンセプトカーそれぞれについて見ていきたいのだが、特に最初の2台に注目していきたい。


M-715 ファイブクォーター

M-715

1967年、初代グラディエーターをベースとした軍用車「M-715」が誕生したのだが、このコンセプトカーはそのM-715を荒野を駆けるモンスターとして現代に復活させたモデルだ。ファイブクォーターという名称はオリジナルのM-715の最大積載量が1.25トンであったことに由来している。

3.6L V6エンジンを搭載する他のコンセプトカーとは異なり、これだけは最高出力717PSのスーパーチャージャー付き6.2L V8「ヘルクレート」エンジンが搭載される。トランスミッションはTorqueFlite 727型3速ATが搭載される。

M-715 ファイブクォーターはどこを見ても魅力的だ。本家M-715では金属剥き出しだったフロントグリル周辺はカーボンファイバー製となり、幌の屋根は9cm低くなっている。荷台部分はアルミニウムと木の組み合わせとなっており、テールゲートにもアルミが使われている。

機能的なロックレールも装備され、フロントバンパーにはグラディエーター ルビコン用バンパーの改造版が使われている。HIDヘッドランプやLEDデイライト、LEDテールランプも装備される。サスペンションは本家のリーフスプリングの代わりに高耐久力のコイルサスペンションが採用されている。ホイールは20インチのものが装着される。

車内にはヘッドレストの無いラングラー用のシートが装備され、内装もアルミ剥き出しとなっている。トランスミッションおよびトランスファーは8-71スーパーチャージャー用ハウジング(再利用品)が覆っている。

試乗コースは大した難関もなかったのだが、走りは悲惨だった。ただし、開発予算も開発期間も少なかったことは考慮するべきだろう。アクセルはかなり軽くて過敏で、1cm踏んだだけで即座にエンジンが過剰反応してしまう。ステアリングもかなり軽く、アシストの存在しなかった本家とは真逆の性格だ。

ただし、走破性に関してはその実力の一片すらも体験できなかったと思う。岩場も走ったのだが、それくらいは朝飯前のように感じられた。試乗時間は非常に短かったのだが、ジープの担当者いわく、砂漠を120km/hで走ることもできるそうだ。


J6

J6

1970年代のジープ・ホンチョをリスペクトしたモデルであるJ6コンセプトは会場でもかなりの注目を集めており、ジープも将来の市販化を検討しているそうだ。ラングラー ルビコンのシャシをベースに開発された2ドアのJ6はグラディエーターよりも30cm長い全長1.8mの荷台を特徴とする。広い荷台はボディ同色に塗られ、スペアタイヤも荷台に搭載される。

ジープ純正品のLEDライトは4,800ルーメンの光を発する。17インチのベッドロックホイールが装着され、「ブラスモンキー」と呼ばれる色が塗られている。ダッシュボードもボディと同色になり、レザーシートやアームレスト、ステアリングにはボディ同色のステッチが施されている。ステアリング中央のジープのロゴはクラシックな専用品となっている。

会場では多くのジープファンがJ6コンセプトの市販化を望んでいたようだが、私も2ドア版の荷室の長いグラディエーターに登場して欲しいと思っている。


JTスクランブラー

JT Scrambler

1980年代のCJ8スクランブラーをリスペクトしたJTスクランブラーにはボディサイドとボンネットにメタリックオレンジとナチョイエローのストライプが入っており、ホイールもオレンジに塗られている。


グラディエーター グラビティ

Gladiator Gravity

グラビティはグラディエーターをベースとした開放感溢れるモデルだ。鉄パイプ製のドアや荷台に装備されたクロスレールおよびカーゴキャリアバスケットはすべてジープの純正オプション品となっている。


グラディエーター フラットビル

Gladiator Flatbill

フラットビルの荷台にはオフロードバイクが搭載され、ダイナトラック製のPROROCK 60強化アクスルが装備され、4インチリフトアップされている。


ウェイアウト

Gladiator Wayout

自動車旅行用に開発されたウェイアウトには専用のルーフラックが装備され、天井の上に2人用のテントを展開することができる。また、車の右側から後ろまで天幕を270度展開することもできる。ちなみにウェイアウトのボディカラー(ゲーターグリーン)は市販版グラディエーターでも選択可能だ。