英国「Auto Express」によるアルファ ロメオ 4Cとポルシェ・ケイマンの比較試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2014年当時のものです。



4C vs Cayman

アルファ ロメオは世界でも有数の人気自動車メーカーなのだが、スポーツカーの伝統を持ちながらも、ここ数十年間はまったくスポーツカーを販売してこなかった。そんな中でようやく登場したのがアルファ ロメオ 4Cだ。

カーボンファイバー製シャシ、デュアルクラッチトランスミッション、ミッドシップレイアウトの採用により、スーパーカーさながらのスペックを実現しつつも、価格は5万ポンドを切る。では果たして、4Cは世界最高レベルのミッドシップスポーツカー、ポルシェ・ケイマンにどう挑むのだろうか。今回はこの2台をサーキットで比較してみた。

4Cは過去のアルファ ロメオ製スポーツカーの再来だ。カーボンファイバーシャシを採用したことで、車重はわずか895kgに抑えられている。1.7L 4気筒ターボエンジンは最高出力274PS、最大トルク35.7kgf·mを発揮する。

対する2代目ポルシェ・ケイマンは完璧なハンドリングを実現している。2.7L水平対向6気筒エンジンは最高出力275PS、最大トルク29.6kgf·mを発揮するのだが、車重は1,310kgと4Cよりも400kg以上重い。

Cayman

ケイマンはサーキットで運転すると完璧な車であると感じる。思い通りに操ることができる。コーナーではわずかにロールを呈するのだが気にならないし、バランスはかなり優れている。ケイマンは楽しく運転でき、サーキットでのラップタイプは1分12秒7を記録した。

4Cのラップタイムを発表する前に言及しておきたいのだが、4Cにはパワーステアリングが装備されない。これは当然軽量化のための措置なのだが、同時により純粋なステアフィールを実現するという目的もある。ところが残念なことに、4Cのステアフィールはあまり良くない。

ステアリングの動きは生々しく、キックバックもはっきりとある。ただ、ステアリング越しに路面の情報をはっきり感じ取ることはできない。パワーステアリングがないだけに、ステアフィールが良くないのは非常に残念だ。

4Cはエンジンも粗削りで、6気筒のポルシェのような心地良さもない。DCTは非常にクイックで車にも合っている。ただ、ブレーキは制動力こそ強いものの、ペダルフィールが欠如しており、滑らかにブレーキをかけるのは難しい。

4C

とはいえ、高速コーナーでの操作性はかなり優れている。ロールはほとんど生じず、かなり安定しており、まるでレーシングカーのようだ。

2台の走りはまったく違っているのだが、驚くべきことに4Cのラップタイムはケイマンとまったく同じだった。こんな奇跡は初めてなのだが、だとしたら今回の勝敗はどうやって決めればいいのだろうか。

アルファは美しく、グリップ性能も高く、操作性も高いのだが、ポルシェのような完璧なフィールや車との対話はない。それに、ケイマンのほうが実用的だし、価格も安く、日常的に乗ることも難しくない。

見た目だけならアルファのほうが魅力的なのだが、オールラウンダーとしてはやはりケイマンのほうが上だ。なので、今回はケイマンの勝利ということにしたい。