オーストラリア「news.com.au」によるジェネシス GV80の試乗レポートを日本語で紹介します。


GV80

GV80はオーストラリアにおけるジェネシスの成否を占うモデルになるのかもしれない。名の通ったブランドではなく、あえて新興高級ブランドのSUVを購入する理由はどこにあるのだろうか。

BMW X5などの競合車に遅れて登場したジェネシス GV80が出した答えは、デザインとテクノロジーだ。

BMW出身でジェネシスの研究開発部門を統括するアルベルト・ビアマン氏によると、ジェネシスが最も重視しているのはデザインだそうだ。だからこそ、GV80は古典的なロングノーズのプロポーションで、巨大な22インチホイールを履き、前後には横長2本線のLEDライトが装着されている。

デザイン担当のルク・ドンカーヴォルケ氏の手により、ジェネシスは従来の没個性的デザインから脱却し、新しいジェネシスのデザインが生み出された。

インテリアにはベントレー・ベンテイガのように上質なレザーや木目、メタルが用いられており、美しい仕上がりとなっている。物理ボタンとタッチパネルの融合したエアコン操作系はレンジローバー風だ。

14.5インチワイドスクリーンタッチディスプレイはタッチパッド一体式のダイヤルにより操作を行う。

ナビは通常の地図だけでなくフロントカメラの映像を用いたAR表示も可能となっている。オーディオにはアクティブノイズコントロール機能やムード音響機能(暖炉や雨音、カフェの喧騒を流す)も付いている。

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メーターはデジタルディスプレイなのだが、ホログラムのようにレイヤーを使った3D表示が可能となっている。

フロントカメラにより前方の道路状況を認識し、路面に応じてアクティブサスペンションが調整される。運転席にはマッサージ機能も付いており、エアの微調整によってドライバーの疲労を軽減する。

2列目シートの居住空間は十分に広いのだが、3列目シートはあくまで子供用と割り切ったほうがいいだろう。運転席と助手席の間にもカーテンエアバッグがあり、合計で10エアバッグが装備される。他にも安全装備は充実しており、自動ブレーキやブラインドスポットモニター、ステアリングアシスト、アクティブクルーズコントロールも装備される。

クルーズコントロールは細かい調整も可能で、加減速の緩急や前走車との車間距離を調節することもできるので、例えば割り込みをされたくないときには車間距離を縮めることもできる。

GV80に搭載される新設計の直列6気筒3.0Lターボディーゼルエンジンは今後、他のヒュンダイやキアのモデルにも搭載されることになるだろう。

最高出力279PS、最大トルク60.0kgf·mは過激とまでは言えないものの十分な性能を発揮してくれるし、実燃費性能は10km/L近くを記録する。しかも、エンジンは非常に静かで、振動も抑えられている。

ディーゼル以外には2.0L 4気筒ガソリンターボエンジンと3.5L V6ガソリンターボエンジンが登場予定となっている。

rear

8速ATは滑らかで、都市部でも高速道路でもまったく不満を感じなかった。ちなみに、GV80は新プラットフォームを採用しており、後輪駆動と4WDが設定される。

GV80の快適性は競合車と比べても非常に優れていると感じた。静粛性は高いし、アダプティブダンパーのおかげでソウルの道でも快適だった。

オーストラリア仕様車にはオーストラリアの道や顧客嗜好に合わせた専用サスペンションが装備され、より快適性重視のセッティングになるだろう。

オーストラリア国内における価格設定はまだ分からないのだが、欧州製の競合車よりは安くなるだろうし、10万オーストラリアドルは切るだろう。GV80の完成度の高さを考えると、そのくらいの値段ならかなり魅力的だ。

2014年にオーストラリアでヒュンダイ・ジェネシスが発売されてから5年以上が経過したのだが、オーストラリア国内における2019年12月のジェネシスの販売台数はわずか5台だった。2019年にはシドニーに旗艦ショールームが開設されたのだが、顧客の心はまだ掴めていないようだ。

ディーラー網およびラインアップの拡充によって状況は改善していくのだろうが、ジェネシスの成否を決めるのは他ならぬ消費者だ。