英国「Auto Express」によるマツダ2 SKYACTIV-G 1.5の試乗レポートを日本語で紹介します。


Mazda2

マツダ2はスタイリッシュで運転も楽しく、フォード・フィエスタやプジョー 208にも対抗できる実力派の小型車だ。しかし現行モデルは登場から5年が経過しており、マイナーチェンジが行われた。

マイナーチェンジに伴い、グレード構成が整理された。エントリーグレードは従来同様75PSのエンジンを搭載するのだが、グレード名はどういうわけか「SE-L」になっている。「SE-L」といえば他のマツダ車なら中間グレードに付く名称だ。それだけに装備も充実しており、15インチアルミホイール、LEDヘッドランプ、オートエアコン、クルーズコントロールは標準装備で、価格は15,795ポンドだ。

今回試乗したのは90PS仕様エンジン搭載車で、こちらには「SE-L Nav」、「Sport Nav」、「GT Sport Nav」の3種類のグレードが設定される。いずれも改良版の7インチタッチスクリーンインフォテインメントシステムが搭載され、Android AutoおよびApple CarPlayにも対応している。75PSの「SE-L」と90PSの「SE-L Nav」の価格差は1,000ポンドで、装備差や性能差を考えれば十分納得できる値段だ。

「Sport Nav」(17,495ポンド)には16インチアルミホイールが追加装備され、今回試乗した「GT Sport Nav」にはさらにレザーシート、バックカメラ、カラーヘッドアップディスプレイ、フロントシートヒーター、ステアリングヒーターまで装備されていたのだが、価格も18,295ポンドとそれなりに高価だ。

マツダ2に搭載されるエンジンは、75PS仕様も90PS仕様も同じ1.5Lのノンターボで、マツダお馴染みのSKYACTIV-Gエンジンだ(ディーゼルは設定されない)。ただし、今回のマイナーチェンジでマイルドハイブリッドシステムが追加され、その結果CO2排出量が100g/kmを切っている。このシステムの主体はベルト駆動のモーター兼発電機で、減速時にエネルギーを回収し、加速時にエンジンの負荷を軽減する。

rear

走行中も停止中もハイブリッドシステムの挙動は良好だった。特に都市部での停止後再発進は非常に滑らかだ。静かだしエンジン再始動時の振動もほとんどない。それに、エンジン自体も非常に静かで、3,500rpmまで滑らかに回ってくれる。

残念ながら、ターボエンジンではないので、低回転域の性能は少し物足りない。標準設定の6速MT(ATは「Sport Nav」のみにオプション設定される)はギア比がやたら高く、まるでドラッグレース向けに設計されているかのようだ。例えば、100-110km/h加速をするためには5速ではなく4速まで落とさなければならないし、ワインディングでは覇気を感じない。要するに、せいぜい60km/h程度までしか出さない街中で乗るための車ということだ。

MTの変速フィールはかなり良好なのだが、パフォーマンスを引き出すためにはやたら変速しなければならないし、普通に運転しているとエンジンの回転数もやたら高いところまで使うことになる。そのため、より小排気量の3気筒ターボエンジンを搭載する競合車と比べると、パフォーマンスも静粛性も見劣りしてしまう。

マイナーチェンジではリアダンパーとパワーステアリングも改良されている。従来型との差はほとんど分からなかったのだが、いずれにしてもマツダ2の足回りは非常に優秀だ。街中での乗り心地はやや硬く感じることもあるのだが(15インチだと印象も変わるかもしれない)、ロールはしっかり抑えられているし、ステアリングはダイレクトで重さも適切だ。

インフォテインメントシステム(長らくのマツダの弱点だ)は新型マツダ3のシステムほど優秀ではなく、競合車と比べても特別サクサク使えるわけではない。ただ、Apple CarPlayおよびAndroid Autoには対応したので、マツダの非直感的なインターフェイスに頼らずともナビ機能や音楽再生機能などを使うことができる。

interior

ダッシュボードのデザインは基本的に変わっていない。従来通り上質で作りもしっかりしているのだが、華やかさに欠けており、また収納スペースも不足している。CDプレイヤーがやたら場所をとっている割に、スマートフォンなどを収納できるスペースは限られている。

他にも、最新モデルと比べると実用性の面で見劣りする部分がある。荷室容量は280Lと十分確保されているのだが、新型ルノー・クリオの荷室はこれよりも実に100L以上広い。

今回のマイナーチェンジでは、最新の競合車と渡り合っていくことは難しいだろう。ルノー・クリオのほうが内装は魅力的かつ実用的だ。対するマツダ2は古さを感じるし、高速域では扱いづらい。確かにシャシは優秀なのだが、無気力なパワートレインがそれに伴っていない。やはり古さにはどうしても抗えないようだ。