インド「CarWale」によるタタ・アルトロズの試乗レポートを日本語で紹介します。
最近では顧客も上級志向となり、プレミアムBセグメントハッチバックの需要も増加している。この市場は長らく、ヒュンダイ・エリートi20とスズキ・バレーノが寡占していたのだが、そこに新規参入するのがタタの新型アルトロズだ。今回は美しいジャイサルメールの道で新型アルトロズに試乗した。
アルトロズはタタの新モジュラープラットフォーム「ALFA」を採用する最初の市販車となる。先鋭的な45Xコンセプトのデザインはしっかりと継承されており、特に一体化されたフロントグリルとヘッドランプは特徴的だ。今後登場するタタ車にもアルトロズのデザイン要素が継承されていくそうだ。
横から見ると、窓の下部分が黒く塗られていることに気付く。この部分は「シューティングスターベルトライン」と呼ばれており、さらにCピラー部分にはリアのドアハンドルが隠されている。ホイールアーチ周りやドアパネルには目立つプレスラインも入っている。テールゲートの造形はかなり凝っており、LEDテールランプと一体化している。
ボディサイズは競合車と比べるとやや幅広なのだが、ホイールベースは2,500mmと短い。リアオーバーハングはかなり短いのだが、ボンネットが長く、プロポーションがかなり優れているので、競合車と比較してもかなりスタイリッシュに感じる。
車内に入ろうとすると、ドアがかなりの角度まで開くことに驚いた。アルトロズは4つのドアすべてが最大90度まで開くようになっている。そこまで開いてしまうと座ってからドアを閉めるのは難しいのだが、少なくとも乗り降りはしやすい。
黒とシルバーの組み合わせとなるダッシュボードの見た目はかなり良い。中央部には上に突き出るようにインフォテインメントスクリーンが配置されており、操作系は一部ハリアーとも共通となっている。ステアリングは専用デザインなのだが、チルト調節のみ可能で、テレスコピック調節はできない。
運転席は座面の高さが調節でき、シート自体の快適性も高い。ただ、サポート性には少し不足を感じた。ステアリングはフラットボトムで少し扱いづらく、ウインカー・ワイパーレバーの位置にも少し違和感を覚えた。とはいえ、基本的に大きな不満はない。アームレストの素材はソフトで上質だし、ところどころ入っているシルバーのアクセントにも高級感がある。
前席はヘッドルーム、ショルダールームいずれも十分に確保されており、リアシートの室内空間にも問題はない。また、後席は足元のフロアがフラットになっているため、開放感がある。リアシートにもアームレストが装備されているのだが、分割可倒式ではない。
荷室容量は340Lと平均的な値なのだが、テールゲートの開口面積が広く、開口部下端が低くなっているので、荷物の積み下ろしはかなりしやすい。他にも車内には収納スペースが多数用意されている。グローブボックスは冷却機能付きで15Lの容量があり、センターコンソール内やドア部分にも収納スペースがある。他にドリンクホルダーや傘置き場も用意されている。
装備に関しては、上級グレードの「XZ」にはシングルゾーンオートエアコン(後席用吹出口付き)、キーレスエントリー、プッシュエンジンスターター、オートライト、雨滴感知式ワイパー、電動ドアミラー、クルーズコントロール、アンビエントライトが装備され、Android AutoとApple CarPlayにも対応している。安全装備としては、デュアルエアバッグ、シートベルト警報、車速感応ドアロック、ISOFIXマウント、コーナリングランプ、チャイルドロックが付く。
アルトロズには2種類のエンジンが用意される。最高出力91PS、最大トルク20.4kgf·mの1.5L 4気筒ターボディーゼルエンジンと、最高出力86PS、最大トルク11.5kgf·mの1.2L 3気筒自然吸気ガソリンエンジンの2種類だ。トランスミッションは現時点で5速MTのみが設定される。
3気筒ガソリンエンジンの音はうるさく、車内まではっきり聞こえるのだが、3気筒エンジンながらも振動は少なく抑えられている。クラッチは軽くて扱いやすく、変速もそれなりに滑らかだ。
ガソリンエンジンは低回転域での性能が物足りないのだが、中回転域では優秀だ。2,500~4,500rpmでの応答性は良好で、アクセル操作に即座に反応してくれる。ただし、ギア比がワイドなので、高速ギアでは加速しにくくなっている。それに、高回転域まで回すとエンジン音もかなりうるさくなる。
サスペンションは明らかに硬く感じた。高速域であれば路面が悪くてもしっかり対処できるのだが、低速域での乗り心地はあまり良くないし、悪路走行時はサスペンションからの騒音も気になる。ただ、アンジュレーションにはしっかりと対処してくれる。
走行安定性はどの速度域でも高く、ステアリングの応答性も良好だ。ただ、ステアフィールは物足りないし、コーナーでのロールも気になった。制動性能は非常に高く、おかげで自信を持って運転することができた。
アルトロズのデザインは印象的だし、装備内容も充実している。室内空間や収納スペースも十分に確保されているし、内装の質感も競合車と比べて遜色ない。走行性能も競合車と同等だ。
ただ、既にバレーノとエリートi20はインド市場でブランド力を確立しているので、アルトロズにとっては厳しい戦いとなるだろう。エンジン性能の不足も気になる部分だ。既存の競合車と対等に渡り合うためには、戦略的な価格設定が重要となってくるだろう。
マルチスズキ1強の時代は終わったんですね。
今のご時世にMT設定があるのも魅力的な要因の一つですし、試してみたいなぁ…
auto2014
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