英国「director」によるイーグル・スパイダーGTの試乗レポートを日本語で紹介します。


Spyder GT

まだビートルズが無名だった頃、若者たちはエルヴィス・プレスリーに夢中で、自動車業界では1961年に誕生したジャガー Eタイプによって変革が起こった。EタイプはXK120/140/150の後継車だ。

Eタイプがこれだけ伝説的な車になったのは、マルコム・セイヤーが手掛けたデザインだけが理由ではない。その中身も当時としては革新的だった。EタイプはDタイプ同様、モノコック構造、ディスクブレーキ、ラック・アンド・ピニオン式ステアリング、独立懸架を採用した。

Eタイプは誰もが憧れる車なのだが、今や1961年当時の販売価格2,097ポンドでは到底購入することなどできない。Eタイプの製造は1975年まで続いたので多数のモデルが存在し、エンジンも5.3L V12をはじめとしてたくさんの種類がある。

中には3万ポンド程度で販売されている個体もあるのだが、状態の良い個体は10万ポンドを超え、完璧にレストアされた個体は25万ポンド程度で販売されている。そして、そんなレストア車よりもさらに高価なのがイーグルのEタイプだ。

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ヘンリー・ピアマンはEタイプに情熱を注ぎ、1984年にイーグルを創業した。イーグルはイースト・サセックスに本拠地を置くEタイプ専門のレストア企業だ。

イーグルのウェブサイトを覗いてみると、4種類のモデルが存在することが分かる。今回試乗したのはオープンモデルの「スピードスター」に幌を追加した「スパイダーGT」というモデルだ。

今回はオーナーの厚意により半日の試乗が許された。生憎その日は雨だったので、屋根を閉めて運転することにした。しかし、天候がどうであれ、この車は見た目と同じくらい運転も楽しかった。

アルミブロックの4.7Lエンジンは最高出力340PSを発揮し、車重はアルミモノコック構造の恩恵もあって1トンをわずかに上回る程度となっている。

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マニュアルトランスミッションは滑らかで、スパイダーGTは見掛け倒しではなくその走りも素晴らしかった。現代の車とは異なり、車のすべてを操っているという感覚があるのだが、サスペンションは現代の設計なので昔のEタイプよりも操作性は高い。

試乗時間が終わる頃にようやく晴れてきたのでルーフを下ろすことにした。すると、後ろから聴こえてくる見事な排気音をよりはっきりと楽しむことができる。

SUキャブレターは爆発的なエンジン音を生み出す。変速するたびに心が踊る。常に「運転している」という感覚がある。ただし価格は83万4000ポンドだ。とりあえず宝くじを買いに行くとしよう。