英国「Top Gear」によるアルファホリックス GTA-Rの試乗レポートを日本語で紹介します。
初めてアルファホリックス GTA-Rに乗り込んでから2時間が過ぎた。私は今、窓を開けてM5を走っている。狭くてスパルタンな室内は車から生み出されるさまざまな音に満たされている。落ち着いてなどいられない。
けれど、変速をするたび、アクセルを踏むたび、その加速を感じるたびに実感することがある。この車はとても楽しい。私が乗った車の中ではマクラーレン F1以来の楽しさだ。イギリスのアルファ ロメオ専門企業が復活させた50年前のクーペは最高のスーパーカーに仕上がっている。
実は、このアルファホリックスにはF1との繋がりが他にもある。アルファホリックスの工場にはレストア予定のジュニアZが置かれていた。聞くところによると、この車はあのゴードン・マレーの愛車だったらしい。どうやら彼はアルファホリックスの仕事を随分と気に入っているようだ。
アルファホリックスで働くマックス・バンクス氏とアンドリュー・バンクス氏は兄弟で、創業者である父親の跡を継いでこの仕事に就いた。もともとアルファホリックスは105シリーズを専門に扱う企業で、今では通信販売を主業としており、従業員も少数精鋭だ。
ところが、車のレストアを求める顧客が増えたため、アルファホリックスは不可能とも思えるプロジェクトを進めることにした。そうして誕生したのがGTA-Rだ。これはレーシングカー「GTA」のレストア車で、シンガーの911を彷彿とさせるような強迫的なこだわりを感じる。
細かい部分はアルファホリックスの公式サイトを見てほしいのだが、この車はドアやボンネット、トランクリッドがカーボンファイバー製で、プロペラシャフトやショックアブソーバーはアルミニウム製、フロントブレーキは6ポットのアルミ製キャリパーと300mmのベンチレーテッドディスクが組み合わせられている。
ヒンジやボルト、ネジ類に至るまで、軽量化が徹底されている。アルファホリックスの通信販売事業はかなり手広く、ほとんどの部品を自社内で作ることができるし、協力企業の技術力も折り紙つきだ。
GTA-Rの車両重量はわずか830kgだ。エンジンはアルファロメオのツインスパーク2.0Lを搭載する。ボア・ストロークは変更され、排気量は2.3Lとなっており、最高出力243PS、最大トルク27.7kgf·mを発揮する。つまり、パワーウェイトレシオは293PS/tということになる。
見た目は小さいのだが、ロールケージを跨いでRECAROシートに収まり、四点ハーネスを締めれば身体がしっかりとフィットする。メーター類はオリジナルに使われていたヴェリアとイエーガーの複製品となっている。ペダルはアルミ削り出しだ。
フライホイールは軽量仕様で、ステアリングにはアシストがなく、走り出すとすべてのパーツが見事に調和する。ゴードン・マレーが気に入ったのもよく分かる。830kgという軽さゆえに、すべてが流れるように動く。何かが何かを支配するようなことはなく、すべてが協調している。
トランスミッションの変速比はややロング気味なのだが、その変速は正確無比だ。それ以外の部分もかなり緻密に作られている。乗り心地は段差を乗り越えると硬さを感じるのだが、基本的にかなりしなやかで、操作性も非常に高い。ステアリングは非常にアナログで、路面の情報をしっかりと伝えてくれる。4気筒エンジンが奏でる音も至高だ。
けれど、注意してほしい。この車は一度運転してしまうとどうしても欲しくなってしまう。しかし、これだけのこだわりが込められた車なので、値段は24万ポンドとかなり高価だ。けれどそれでも、個人的にはマクラーレン F1と同等の憧れの車だ。
auto2014
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