英国「Auto Express」によるいすゞ D-MAXの試乗レポートを日本語で紹介します。


D-MAX

トゥルーパー(日本名: ビッグホーン)の登場以来、農業、林業、建築業などの業界内ではいすゞ車の堅牢性の高さの評価が確立されていった。しかし、より快適性の高い競合車(フォード・レンジャーや日産 ナバラなど)と比べると、イギリスにおけるD-MAXの販売状況は芳しくない。しかし、マツダとの協力により、D-MAXは変わろうとしている。

新型D-MAXはいすゞがマツダとの協力関係を結んで最初に登場するモデルであり、マツダの乗用車作りのノウハウが活かされたピックアップトラックに仕上がっているようだ。

新型D-MAXはボディパネルを完全刷新し、より個性的なフロントグリル、そして特徴的なU字型LEDヘッドランプを装着している。シャシもほぼ完全新設計で、アルミニウム製プロペラシャフトや高張力鋼板の採用により約80kgの軽量化を果たし、剛性も約20%向上している。

インフォテインメントシステム周辺は六角形に象られ、上級グレードではその内側に9インチタッチスクリーンが装備される。硬い素材とソフトな素材が対照的に使われ、非常に現代的なインテリアとなっている。

新型D-MAXには音声認識機能が付き、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応している。リアクロストラフィックアラートやブラインドスポットモニタリング、ブレーキアシスト、ヒルディセントコントロールなどの安全装備も用意されるのだが、自動緊急ブレーキは装備されない。

欧州仕様車には最高出力150PS、最大トルク35.7kgf·mの1.9Lディーゼルエンジンが搭載される。このエンジンは低回転域では十分に力強いのだが、高回転域になると物足りなさが出てくる。残念ながら欧州仕様車にはより高性能な3.0Lディーゼルは設定されない。

interior

公式な数字はまだ出ていないのだが、いすゞによると、燃費性能は"クラストップレベル"らしい。ただし、排出ガス規制適合のためにAdBlueが必要となる。トランスミッションは6速MTと新設計の「RevTronic」6速ATから選択できる。

新型D-MAXの走りはかなり良くなっていた。NVH性能はかなり向上していたし、AT/MTともに変速も非常に滑らかになっていた。

オフロード走行用の機構として、電磁式デフロック(いすゞにデフロックが採用されるのは2012年以来だ)とトランスファーも装備され、新型D-MAXでは2WDと4WDの切り替え時間が短くなっている。最大渡河深度も800mmまで向上している。

荷台幅は旧型D-MAXとまったく同じ1,530mmで、荷台高はわずかに深くなって490mmとなり、荷台長はわずかに伸びて1,495mmとなっている。それでも、D-MAXの荷台は競合車と比べると狭い。ただ、室内の収納スペースは豊富だ。最大牽引重量(3.5トン)および最大積載量(1トン)はおそらく旧型と変わらないだろう。

イギリスにおける発売は2020年9月に予定されている。新型D-MAXはいすゞの堅牢性とマツダの快適性をうまく両立し、従来型の弱点を克服している。ピックアップトラックとしては走行性能が高く、運転支援装備も多数用意されているし、デフロックの復活も嬉しい。