米国「MOTOR TREND」によるトヨタ・ハイランダー(2020年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


Highlander

販売台数を倍増させるのは決して簡単なことではないのだが、新型ハイランダーならばそれを実現するのも難しくないのかもしれない。4代目ハイランダーハイブリッドはエンジンが6気筒から4気筒になり、経済性だけでなく環境性能も高めている。

ハイブリッド車なので当然かもしれないが、ハイランダーハイブリッドの価格は通常のエンジン車よりも高く設定されている。ただ、価格差は非常に分かりやすく、FF/4WDいずれも、すべてのグレードでガソリン車の値段に1,400ドルを足せばハイブリッド車の値段になる。

ハイランダーハイブリッドのシステム出力は246PSで、V6 3.5Lエンジンを搭載していた従来型と比べると64PS低下している。しかし、ハイランダーはあくまでもファミリー向け3列シートクロスオーバーSUVなのだから、エンジン性能など気にする人はほとんどいないだろう。

実際に走らせてみても、応答性は良好だし、それなりにパワフルだ。街中では2.5L 直列4気筒エンジンとCVTの組み合わせが頼もしい。高速道路の加速車線ではやや物足りなさを感じるのだが、基本的に不足を感じることはほとんどない。

ガソリン車には従来型同様、299PSのV6 3.5Lエンジンが搭載される。ノンターボなので滑らかでリニアな加速が得られ、反応も直感的だ。こちらには8速ATが組み合わせられるのだが、やや変速ショックが気になることもある。あくまでごく平凡なATだ。

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もちろん、CVTを搭載するハイブリッドには変速ショックなどないのだが、その代わり4気筒エンジンの騒音は耳障りだ。同じパワートレインを搭載するRAV4ほどうるさくはないのだが、もう少し静粛性を高めてほしいところだ。

個体の問題かもしれないのだが、4WD車よりも2WD車のほうが回生ブレーキのかかり方が強いように感じた。具体的に言えば、アクセルもブレーキも離した状態だと、2WD車のほうが強く減速してしまう。

メーター内や中央のスクリーンにさまざまな車両情報が表示されるため、ゲーム感覚でハイブリッドカーの運転を楽しむことができる。ハイランダーは飛ばして楽しむような車ではないので、こういう楽しみがあるのは嬉しい。

ハイランダーハイブリッドのブレーキフィールはハイブリッド車の中ではかなり優秀だった。ハイブリッドカーの中には、奥まで踏み込んだときに急減速してしまう車もあるのだが、ハイランダーにはそのような問題がない。

ハイブリッドカーの大きな欠点として、ブレーキフィールと室内の狭さの2点が挙げられるのだが、ハイランダーにはどちらもない。ハイブリッドとV6で室内空間は変わらない。3列目のフロアは高めだし、その後ろの荷室も狭いのだが、それはV6も同じだし、その点は競合車も大差ない。

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ハイブリッドのEPA燃費はグレードや駆動方式によって変化するものの、シティ燃費、ハイウェイ燃費ともに15km/L前後となる。全長5m近いSUVとしては非常に優秀な数字だ。ちなみに、V6モデルはシティ燃費が約9km/L、ハイウェイ燃費が11~12km/Lとなる。ハイブリッドとの価格差は1,400ドルなので、それほど長く乗らずとも価格差を取り戻すことができるだろう。しかもハイブリッドの場合、平均燃費15km/L程度で計算すると、1,000km近く無給油で移動することができる。

現時点で3列シートハイブリッドSUVの種類は少ない。日産はパスファインダーハイブリッドの販売をやめてしまったし、ホンダは今のところパイロットにハイブリッドを設定していない。三菱にはアウトランダーPHEVがあるが、車格はハイランダーよりも下だ。

唯一、フォードはエクスプローラーにハイブリッドを設定しているのだが、ハイランダーと違ってV6エンジンを搭載している。エクスプローラーハイブリッドはシステム出力322PSの高性能ハイブリッドなので、価格はハイランダーよりも高く、燃費はハイランダーより悪い。

しかし、300馬力など不要な人は、ぜひともハイランダーハイブリッドを試乗してみるべきだろう。ガソリン車のハイランダーを買うなら、より優秀なキア・テルライドを選んだほうがいいだろうが、テルライドにはハイブリッドがなく、燃費ではハイランダーハイブリッドが勝っている。わずか1,400ドルの価格差でハイブリッドを選べるハイランダーは検討する価値のある車だ。