Civic

我々の中でシビックタイプRの評価は非常に高く、フォーカスSTにとっては乗り越えなければならないベンチマークとなる。シビックタイプRの価格は「GT」グレードが33,550ポンドで、今回の3台の中では最も高価なのだが、エンジンスペックも3台の中で最も優れている。

最初にシビックの嫌いなところをはっきり言ってしまおう。見た目だ。言うまでもなくこれは主観的な意見なのだが、どう考えてもフォーカスSTやi30 Nのほうがよっぽど上品なデザインだ。

ただ、奇妙な外観の内側には最高の技術が息衝いている。リアサスペンションはマルチリンク式で、アダプティブダンパーやLSDも装備される。6速MTはかなり優秀で、2.0Lターボエンジンはなんと最高出力320PS、最大トルク40.8kgf·mを発揮する。

他の2台同様、アダプティブダンパーはドライブモードスイッチを操作することでセッティングを変更することができる。モード変更をすると他にスロットルレスポンスも変わる。カスタマイズの自由度は他の2台と比べると劣るのだが、それは必ずしも悪いことではない。例えば、ディファレンシャルは調整不可能なのだが、デフォルト状態でもワインディングで最高の走りを見せてくれる。

インテリアデザインは外観同様の印象だ。ディスプレイや収納スペースなど様々なパーツがそれぞれに強く主張して不協和音を奏でている。しかし、タイプRにはホットハッチに必要なものがしっかりと備わっている。ドライビングポジションは3台の中で圧倒的に優れている。着座位置は低く、シートのサポート性も非常に高い。

インフォテインメントシステムは少し使いづらいし、デジタル表示のメーターや中央のディスプレイの表示は一世代前の感覚がある。とはいえ、装備は充実している。必要な安全装備はすべて揃っているし、パーキングセンサーやバックカメラ、ワイヤレス充電、LEDヘッドライト、キーレスエントリー、各種コネクティビティ機能は標準装備となる。値段は3台の中で最も高いのだが、コストパフォーマンスは優れている。

Civic interior

そして、3台の中で最も走りが優れているのもホンダだ。シビックタイプRの走りは最も自然で嘘っぽさがなく、走行モードの変更によりサスペンションのダンピング性能が大きく変貌するため、状況によってキャラクターを使い分けることができる。

旧型シビックタイプRは硬すぎた。しかし、新型はコンフォートモードにするとしなやかで穏やかになり、フォーカスやi30を悩ませた路面のアンジュレーションや凹凸を見事にいなしてくれる。新型のタイプRは本当に乗り心地が良い。

そしてスポーツモードにすると足が少し引き締まり、乗り心地をさほど犠牲にせずに操作性を向上することができる。その上の+Rモードは路面の悪い場所だとやりすぎ感が出て跳ね回ってしまうのだが、それでもi30のNモードよりはずっとましだ。

そして、ステアリングの完成度も3台の中で最も優れている。適度にクイックなので、フォーカスだとクイックすぎて調整に手間取ってしまうようなコーナーでもタイプRなら完璧に操ることができる。

グリップ性能も非常に高い。フォーカスSTのグリップ性能もかなり高いのだが、シビックはそれをさらに上回っている。フォーカスほどの俊敏性はないのだが、その代わり安定性はシビックのほうが高い。ディファレンシャルの介入は非常に自然なのでフォーカスほどトルクステアは生じず、効率的に路面に駆動力を伝えることができる。

エンジン性能も非常に高く、中回転域からのパンチも高回転域での伸びも他の2台より優れている。6速MTはかなり直感的に扱えるトランスミッションで、まるでスポーツカーのように運転できる。

Civic rear

0-100km/h加速はフォードと同じ5.9秒で、無変速加速ではフォードよりも速い。しかし、あくまでホットハッチにおいて重要なのは走りのフィーリングなので、あまり数字に固執するべきではないだろう。

荷室容量は420Lで3台の中で最も広く、リアシートもかなり広い。ルーフラインが傾斜しているのでヘッドルームはフォードやヒュンダイよりも狭いのだが、大きな欠点とまでは言えないだろう。60:40の分割可倒式シート(これは他の2台にも付いている)を倒したときの最大荷室容量は3台で最も少ない1,209Lだ。ちなみに、フォーカスSTは1,250L、i30は1,287Lだ。

巨大なリアウイングは付いているものの、視界にはそれほど影響はないし、引き出し式のトノカバーは簡単に収納することができる。このように気の利いた装備があるだけに、センターコンソール部のUSBポートの位置など、配慮の足りない部分がどうしても気になってしまう。

安全装備としては、車線逸脱警報、ブラインドスポットモニタリング、自動ブレーキ、クロストラフィックアラート、アダプティブクルーズコントロールなど、必要なものはしっかり揃っている。3台の中でも最も充実している。