カナダ「Driving」による日産 240SXの試乗レポートを日本語で紹介します。
※内容は販売当時のものです。
240SXは見た目がほとんどの車だ。その挑発的なスタイリングはレクサス SC400(日本名: トヨタ・ソアラ)にも似ている。曲面的なボディパネルからは、高級車のようなオーラすら感じる。
前輪駆動のホットハッチが全盛期を迎えている今の時代にあって、240SXはハッチバックでもなければFF車でもなく、独自のスタイルでホットハッチに挑んでいる。
日産はFRレイアウトを240SXの強みだと考えているようだが、FRでなければ真のスポーツカーとは認められないような時代はもう昔のことだ。車名の240は日産で最も有名なスポーツカー「240Z」(初代フェアレディZ)を彷彿とさせるのだが、そもそも240SXはコーナーを攻めるスポーツカーなどではない。
サスペンションはエンジン性能を考えればあまりにもソフトだ。しかし、日産が想定する顧客年齢層は高く、それに合った快適性を実現している。それに、FRであるがゆえに、スポーツカーらしい魅力も有している。
FF車は空間効率も安全性も高いのだが、やはり車とドライバーの対話がしっかりと取れるのはFRだ。240SXでコーナーに進入すると、スロットル操作だけで簡単に車を制御することができる。グリップ性能の高い205/55R16 ミシュラン XGT V4を履いているため、FF車のようにアンダーステアを呈することもない。
240SXには伝統の2.4L 直列4気筒エンジンが搭載されている。このエンジンは信頼性こそ高いものの、官能的な魅力は少ない。低回転域では力強いのだが、4,000rpmを超えるとやかましくなるし、最高出力はわずか157PSなので、あえて高回転まで引っ張って全力で走ろうとも思えない。
もし、240SXにオプションでより高性能なV6エンジンが設定されていたら、コストパフォーマンスの優れた高性能スポーツクーペとして評価できただろう。とはいえ、4気筒の240SXも31,398カナダドルとそれほど高くはない。
トランスミッションも優秀だ。5速MTは滑らかだし、クラッチも軽く操作できる。内装にはレザーが多く使われており、上質感のあるスポーティーなインテリアとなっている。レザーシートは500km運転しても疲れず、ニールームやレッグルームも十分に確保されている。ただ、価格を考えればシートなどは電動であってほしかった。
240SXには全車にCD/カセット対応のオーディオシステムが標準装備されている。オーディオやエアコンの操作系は使いやすい配置になっている。オーディオの音質はかなり高かったのだが、残念ながらCDを収納するスペースはない。
240SXには見た目に見合うほどの性能はない。しかし、この見た目と適度なパフォーマンスに納得できるなら、巷に溢れるFFスポーツカーに対抗する個性的な選択肢として検討する価値はあるだろう。
しかし、パフォーマンスを重視する人には、やはりV6のない見掛け倒しの240SXでは物足りないだろう。
auto2014
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