インド「Evo」によるルノー・トライバーの試乗レポートを日本語で紹介します。


Triber

ルノー・トライバーの価格やスペック、装備は既に発表されており、全長4m未満の7人乗りミニバンだということも明らかになっている。しかし、まだ分かっていなかった重要な要素がある。それがトライバーの実際の走りだ。

我々はサウス・ゴアの狭いワインディングロードで新型トライバーに試乗した。今回はそのインプレッションをお届けしたい。

トライバーの見た目は良い。全長4m未満のミニバンということで制約も多いはずなのだが、デザイナーが見事にまとめている。横長のヘッドランプと微笑むようなフロントフェイスはうまく作り込まれている。特に驚いたのがサイドで、プロポーションに違和感がない。サイドを走っていたプレスラインも後端で綺麗に終わっている。

内装の質感は非常に高く、装備も充実している。トライバーはAndroid AutoおよびApple CarPlayに対応しており、先進的なインフォテインメントシステムだけでなく冷却機能付きの収納スペースや各列用エアコン吹出口も用意されている。シートのサポート性も高く、ファブリックの質感も高い。3列目はやや狭いのだが、ボディサイズを考えれば十分実用的だ。

interior

トライバーにはクウィッドと共通の1.0Lガソリンエンジンが搭載されており、実用的な性能だ。エンジンとトランスミッションはトライバー専用チューニングとなっている。性能の不足を感じることはあるし、エンジン音も心地良くはない。7人フル乗車も試してみたのだが、明らかに発進がもたついてしまう。とはいえ、5速MTは扱いやすくクラッチフィールもしっかりあるのでドライバビリティは優れている。

少し速度が乗ってしまえばそこからは問題なく加速してくれる。街中であれば加速性能が大きな問題になることはないだろう。

トライバーには拡張版のCMF-A+プラットフォームが採用されており、乗り心地やハンドリングは優秀だ。大きめの凹凸やアンジュレーションにもしっかりと対応し、車内はかなり快適だった。特に高速域では乗り心地が良くなる傾向にあった。

ワインディングでの操作性も非常に高く、価格を考えれば驚くほどの安定性を見せてくれた。敏捷性が高いという表現をしてもいいだろう。高速域で急な車線変更を行ってもしっかり安定している。トライバーは乗り心地とハンドリングのバランスを見事に取っていると言えるだろう。

rear

ステアリングは中立域付近ではやや曖昧なのだが、基本的には正確だ。道が狭かったので三桁の速度域までは出せなかったのだが、このようなミニバンでそんなに飛ばすような人はほとんどいないだろう。

トライバーはブレーキも優秀だった。効き具合はペダル操作としっかり連動していたし、フィードバックも十分で、効き自体も良かった。

トライバーはパッケージングが良好で、低価格な7人乗りミニバンを求めている人にぴったりの選択肢だろう。乗り心地とハンドリングは驚くほど良かったし、この車の性格を考えれば比較対象となるような車も存在しないだろう。デザインに破綻がない点も魅力だ。エンジン性能の低さは残念なのだが、49.5万ルピーという価格を考えれば十分妥協できるだろう。