英国「Auto Express」によるホンダ HR-V スポーツ(日本名: ヴェゼル ツーリング)の試乗レポートを日本語で紹介します。


HR-V

今やSUVから逃れることはできない。自動車産業はSUVの狂気に支配され、ホンダも廃止されてから時間の経ったHR-Vを復活させた。2016年のHR-V復活以降も、市場には溢れるほどのSUVが投入されている。

HR-Vは登場後にマイナーチェンジを行っている。マイナーチェンジの目玉は高性能エンジンを搭載する最上級グレード「スポーツ」の追加であり、これによりホンダは活力の欠如したHR-Vに楽しさを追加しようとした。

HR-V スポーツはエクステリアにもわずかに変更が施されているのだが、やはり注目すべきはエンジンだ。スポーツに搭載されるのはシビックと共通の1.5L VTECターボエンジンで、最高出力182PS、最大トルク24.5kgf·mを発揮する。2WDのみの設定で、0-100km/h加速は7.8秒を記録する。

スペックはBセグメントクラスのホットハッチにも迫る勢いだし、実際の走りも精力的だ。もちろん、エンジン性能に不足はない。2,500rpm付近のトルクは非常に力強い。ただし、レッドラインの6,000rpm付近まで回すと次第に勢いを潜めていく。

実用的なクロスオーバーSUVにこのような高性能エンジンを搭載するのは不思議な話だ。しかも、組み合わせられる6速MTはホットハッチに搭載されていてもおかしくないほど操作感の良い優秀なトランスミッションだ。

rear

ステアリングも優秀だ。もう少し調節性に優れていればなお嬉しいのだが、操作性は正確で重さも適切だし、特にターンインはSUVであることを思わせないほど優れている。スポーツグレード専用のパフォーマンスダンパーも装備されており、田舎道でも自信を持って運転することができたし、ロールも十分に抑えられている。

HR-V スポーツは「スポーツ」という名に恥じないだけの走行性能を実現しているし、カタログ燃費も14.9km/Lと性能を考えれば十分経済的なのだが、欠点も存在する。

エンジンはそれなりにやかましく、特に加速時の唸る音が気になる。それに6速MTのギア比もショートすぎる。110km/h巡航時のエンジン回転数は3,000rpm近い。長距離移動をリラックスしてこなせる車ではない。

幸い、パフォーマンスダンパーのおかげもあって、乗り心地はイギリスの悪路にも耐えられるレベルにある。ただし、硬さを感じる場面もあるし、何より気になるのが一貫性のなさだ。ときに予測できない衝撃が来ることがある。

基本的な部分は従来のHR-Vと変わっていない。マイナーチェンジ後もインテリアはほとんど変更されておらず、スポーツにも特段目新しいものはない。室内は実用的で質感も平均的なのだが、テクノロジー面では古さを感じる部分もある。ワインレッドのレザーが使われたりはしているのだが、インテリアには個性が欠如している。

interior

車内は退屈で暗鬱としており、インフォテインメントシステムは競合車のほとんどに後れを取っている。Apple CarPlayやAndroid Autoはオプションでさえも選べない。室内空間は十分に広く、ホンダの「マジックシート」も標準装備となる。

デュアルゾーンオートエアコンやクルーズコントロール、前後パーキングセンサーは標準装備だし、LEDヘッドランプやBluetooth連携機能、バックカメラが標準装備されるのも嬉しい。

しかし、それほど高いパフォーマンスを求めなければ、これよりも安い価格でもっと先進的な競合車を購入することができる。ホンダのSUVは合理性に定評がある。それゆえに、ホンダのSUVを購入するのであれば、合理性のあるエンジンを搭載した別のグレードを選択したほうが正解なのかもしれない。