米国「Autotrader」によるマクラーレン・セナの試乗レポートを日本語で紹介します。
マクラーレンいわく、セナはマクラーレン史上最も究極的で、最も俊敏で、最も楽しいロードカーらしい。また、史上最軽量で、サーキットでも最速だそうだ。マクラーレンが伝説的なF1や驚異的なP1を作ってきたスーパーカーメーカーであることを考慮すれば、この表現がとんでもないことを意味していることを予感させる。
実際、マクラーレン・セナ(マクラーレン伝統の英数字を用いた記号的命名ではない)のスペックもその凄さを示唆している。例えば、ツインターボ4.0L V8エンジンの最高出力はマクラーレンの内燃機関最強レベルの800PSで、最大トルクは81.6kgf·mだ。おかげで0-100km/h加速はP1と同じ2.8秒を記録し、わずか6.8秒で200km/hまで加速できてしまう。この数字もP1とほぼ同じだ。ちなみに、P1の最高出力はハイブリッド用の電気モーターも含めると916PSだ。
しかし、セナの本質は馬力だけでは理解できない。セナにとって最も重要な数字は800.0kgだ。これは250km/h走行時に発生するダウンフォースだ。巨大なリアウイングにより500kgが発生する。しかも、リアスポイラーはかなり巨大であるにもかかわらず、カーボンファイバー製でわずか4.9kgだ。要するに、本体の重さの100倍以上のダウンフォースを生み出している計算になる。
セナはこれだけの力で路面に押し付けられて、ピレリ P ZERO TROFEO R(リア305/30ZR20、フロント245/35ZR19)は切り裂かんばかりに地を掴む。720Sの場合、スロットル操作もブレーキ操作もかなり気を張って行わないと、うっかりそのまま離陸してしまいそうになる。
しかし、セナはまるで本物のF1マシンだ。セナと(720Sも含めて)他のスーパーカーの最大の違いはブレーキだ。ロングストレートからタイトコーナーへの進入直前、速度計は280km/hを示している。その状態からブレーキを踏み込むと、まず巨大なリアウイングが最大35度前方に傾き、同様にフロントスプリッターも変形する。続いて、巨大な6ピストンフロントキャリパーが390mmのCCM-TRカーボンセラミックブレーキを押さえつける。
ちなみに、250km/h以上の速度ではウイングやフロントスプリッターが過剰にダウンフォースを発生しないように位置が調整される。そうしないと、サスペンションやピレリのZRタイヤに荷重がかかりすぎて破損してしまう。
レースモードにすると「レースアクティブ・シャシー・コントロールII」と呼ばれる油圧式サスペンションが調整され、地上高がフロント39mm、リア30mm下がる。こんな状態でダウンフォースが過剰にかかれば底を地面に擦りかねない。
いずれにしても、ダウンフォースにより生み出されるトラクションのおかげで、ブレーキの効力が最大限に発揮され、サーキットでのラップタイムを驚くほどに伸ばしてくれる。
圧倒的な加速性能と制動性能を体感して、現時点のマクラーレンの「究極形」であるセナは、運転している人間の身体能力も問う車だということを理解した。カーボンセラミックブレーキを最大限に使うと大腿四頭筋に負荷をかけ、コーナリング時には最大2.0G以上が発生するため、体幹にもとてつもない負荷がかかる。
レーシングシートは非常にタイトで、5点ハーネスに締められた状態で運転することになるのだが、セナでコーナーを攻めるとそんな加護をもってしても最後は自分の耐久力でなんとかするしかなくなってしまう。
720Sとの性格の違いは2回コーナーを攻めただけでも分かる。720は日常の外出にも使えるストリートカーなのだが、セナは本気のレーシングカーだ。もちろん、公道を合法的に走行することはできるのだが、やはり本質はサーキットにある。
しかし、厳密に言うとまだ「究極形」という表現はするべきではない。今後、825馬力でスリックタイヤを履いたセナGTRが登場する予定となっている。この車の速さなど、神のみぞ知るとしか言いようがない。ただ、さすがにGTRは公道を走れない。
アルファホリックスのGTA-RとイーグルEタイプの試乗記事がありましたら翻訳お願いします!
auto2014
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