英国「Auto Express」によるサーブ 9-4Xの試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2011年当時のものです。


9-4X

サーブは新製品攻勢を続け、新たに9-4Xを登場させた。9-4Xのベースとなっているのはアメリカ専売車のキャデラック SRXだ。価格は4万ポンド程度で、2011年12月頃に発売される。今回我々は発売に先立ち、量産前のモデルに試乗した。

9-4Xと対面してまず印象的なのはそのサイズだ。ボディサイズはBMX X5と同等で、X5と同じくらい堂々としている。中身はキャデラックなのだが、デザイナーの努力が実り、見た目はしっかりサーブになっている。

全体的な見た目も良いし、サーブファンだけでなく新規顧客にも受けるデザインだと感じた。車内には5人が十分くつろげるだけの空間が確保されており、荷室も広く、シートを倒せばさらに荷物を積むことができる。

ダッシュボードはサーブらしく、スイッチ類もおなじみのものだ。プッシュエンジンスイッチは運転席と助手席の間に配置されている。

装備内容も充実しており、オートエアコンやレザーシート、ナビゲーションシステム、BOSEオーディオシステム、20インチアルミホイールはすべて標準装備となっている。

interior

「タウンライトモード」と呼ばれるライトシステムも装備されている。50km/h以下では広範囲に光を照らすように設定されており、夜間でも歩行者を検知しやすくなっている。100km/h以上だと「モーターウェイライトモード」になり、高速域に合わせた照射範囲になる。

エンジンは300PSの2.8LツインターボV6エンジン1種類のみの設定となり、トランスミッションも6速ATのみだ。現時点でディーゼルの設定予定はない。

このエンジンは滑らかで力強く、0-100km/h加速はおよそ8秒を記録する。ただ、燃費性能は7.8km/L程度なので、ランニングコストはそれなりにかかるだろう。

9-4Xには、GMのシータプラットフォームとイプシロンIIプラットフォームのコンポーネンツを組み合わせたシータプレミアムプラットフォームが採用されている。

サーブの4WDシステム「XWD」や走行モードを変更できる「DriveSense」もサーブ独自装備となっている。このおかげでコーナーでのグリップ性能はかなり向上している。基本的にオンロード使用を想定した車なのだが、ちょっとした悪路も問題なく走れるだろう。

rear

ステアリングはやや曖昧で、大径ホイールのせいで乗り心地もやや悪いのだが、操作性は十分に優秀だ。

9-4Xはデザインも良いし、ツインターボV6エンジンは滑らかで音も良く、加速性能も十分に高い。ただ、ランニングコストの高さやディーゼルの選択肢がない点は問題で、イギリスでの販売はあまり期待できないだろう。

それでも、ガソリン代をあまり気にしないなら、室内空間の広さや充実した装備、そして優れた走行性能を理由に9-4Xを検討する価値はあるだろう。