英国「Auto Express」によるトヨタ・カローラ ツーリングスポーツの試乗レポートを日本語で紹介します。


Corolla

カローラがスタイリッシュになって帰ってきた。2018年のジュネーヴモーターショーでオーリス後継車として新型カローラが発表されたとき、多くの人がその見た目に驚いた。そして、ハッチバックの小洒落たデザインはステーションワゴン仕様のツーリングスポーツにもしっかりと継承されている。

カローラ ツーリングスポーツはトヨタのTNGAプラットフォームを採用し、パワートレインはハイブリッドのみとなる。エンジンは122PSの1.8Lユニットと、今回試乗した180PSの2.0Lユニットの2種類が用意される。

価格は決して安くない。3万ポンドという価格であれば他にもたくさんの選択肢がある。フォード・フォーカスやフォルクスワーゲン・ゴルフなど、折り紙付きのワゴンも購入できる。しかし、カローラには他とは違う魅力がある。

カローラのハイブリッドパワートレインはプラグイン式ではないし、特別先進的なわけでもない。昔のハイブリッドに比べればモーター単独での走行距離も伸びているのだろうが、基本的にはエンジンの助けを借りて走ることになる。

rear

しかし、現状では通常のハイブリッドシステムでトヨタに勝るメーカーなどないだろうし、このカローラハイブリッドはトヨタのハイブリッド史20年の集大成とも言える存在だ。モーターによる発進加速は滑らかだし、モーター駆動からエンジン駆動への移行もシームレスだ。

実際に運転してみると、180PSという数字以上に力強く感じる。0-100km/h加速は8.1秒を記録し、クルージング時のNVH性能は同価格帯の競合車と比べても明らかに優れている。WLTP燃費は17.8km/Lなのだが、実際にこれを下回るような場面はほとんどないだろう。トヨタ自身、基本的に20km/L以上は達成できると公言している。

ただし、走りはそれほど楽しくない。カローラも例に漏れずCVTを採用するFF車だ。パドルシフトが装備されており、ATを模した変速が可能なのだが、わざわざ使う意味はほとんどない。ただ、CVTの中では優秀な方だし、耐えられないほどやたら高回転を維持するようなこともない。

車自体の基本設計はそこそこよく出来ている。ステアフィールは死んでいるのだが、TNGAプラットフォームのおかげで剛性感はある。競合車と比べると硬めではあるのだが、耐えられないほどではないし、その代償として操作性は十分に高い。

interior

運転席の着座位置はやや高めなのだが、インテリアの作りは良く、少なくとも今回試乗した最上級グレードは質感も十分に高かった。ただし、先進技術は期待外れだった。メーター類は明るくて見やすかったのだが、地図が表示できる液晶表示ではない。中央のディスプレイにはそれ以上にがっかりした。インテリアの中で変に浮いているし、応答性も悪く、Apple CarPlayやAndroid Autoにも対応していない。

前席には大人に十分なスペースがあるし、後席も基本的に問題はないのだが、背の高い人だとヘッドルームに不足を感じるかもしれない。荷室容量は後席使用時で581Lを確保している。ハイブリッド車であることも考慮すれば十分に広い。ゴルフエステートとの差はわずか25Lだし、フォーカスエステート(608L)との差も小さい。

結局のところ、カローラ ツーリングスポーツは決め手に欠ける車だ。ニッチな魅力はあるのだが、コストパフォーマンスはそれほど高くないので、ハイブリッドによってどれだけ節約できるかをしっかり計算してみる必要がある。

フォーカスやゴルフなら、カローラと装備が同等のディーゼルモデルをカローラよりも安く手に入れることができるし、ガソリン車ならさらに上級のグレードが選べる。カローラに興味はあるが、必ずしもハイブリッドが欲しいわけではないなら、他の車も検討してみるべきだろう。