インド「CarWale」によるキア・セルトスの試乗レポートを日本語で紹介します。
先日、キア・セルトスが公式発表されたばかりだが、我々はアナンタプルのテストコースで量産前のプロトタイプ車に試乗することができた。まずはデザインについて概説することにしよう。
市販モデルはオートエキスポで発表されたコンセプトカーに非常に近いデザインに仕上がっている。特に目を引くのが幅広感のあるフロントだ。"タイガー・ノーズ"グリルのおかげで非常に威圧感のある見た目となっているのだが、特徴的なのはヘッドランプとデイライトだ。
横から眺めてみると17インチアルミホイールが目を引く。GTラインではキャリパーが赤く塗られる。リアデザインもスポーティーで、LEDテールランプやフェイクの排気管が装備されている。全体的にスポーティーで魅力的なデザインに仕上がっている。
同様に内装もスポーティーだ。キアが重視したのは「エレガント」、「プレミアム」、「ハイテク」の3要素らしいのだが、実際の内装を見てもそれらを感じ取ることができる。シルバーのアクセントが入った黒基調の車内中央には10.25インチのHDタッチスクリーンインフォテインメントシステムが装備されている。このシステムは応答性も良いし、ディスプレイも鮮明だ。
セルトスにはキアのUVOコネクトというBluetoothを使ったアプリにも対応している。これを使えばスマートフォンを利用して目的地設定や現在地のシェア、遠隔操作でのエンジンやエアコンのオンオフ、タイヤ空気圧の確認などが可能となる。
グリップの太いフラットボトムステアリングは見た目がスポーティーなだけでなく、握り心地も良い。ポップアップ式の8インチヘッドアップディスプレイもなかなか恰好良い。しかも、セルトスにはセンターアームレスト前方に空気清浄機まで搭載されている。
シート形状はよく考えられており、運転席の座り心地も良い。長距離移動も苦にならないし、ちょっと飛ばしたくらいではサポート性に不足を感じることはない。リアシートも少しだけ座ってみたのだが、こちらも非常に快適に感じた。レッグルームは十分確保されているし、全幅があるので横に3人座っても何ら問題ない。
インテリアにはいかにも韓国車的な雰囲気はあるのだが、車格を考えればかなり上質なインテリアだと思う。エクステリア同様、キアの工夫が感じられた。
セルトスには複数のエンジンが用意される。ひとつ目が最高出力117PS、最大トルク14.7kgf·mの1.5Lガソリンエンジンだ。このエンジンには6速MTとIVT(キア用語でCVTのこと)が設定される。
今回は限られた環境での試乗だったのでエンジンの性能をすべて出し切ることはできなかったのだが、ある程度の特徴は理解できた。今回はMT車を運転したのだが、非常に良いエンジンだと感じた。加速はリニアだし、レッドゾーン付近まで回さなければ十分に静かだ。
GTラインにはターボ付きの1.4L T-GDIエンジンが搭載される。最高出力142PS、最大トルク24.7kgf·mで6速MTと7速DCTが組み合わせられ、車好きにも喜ばれそうな仕様となっている。また、DCT車には3種類の走行モードも設定される。
走り出すとすぐに1.5L車とのパフォーマンスの差を感じる。加速性能は高く、エンジンはどんどんと回っていく性格だ。DCTはフォルクスワーゲンのDSGほど応答性が高いわけではないのだが、CVTよりは優秀だった。
走行モードによる違いもはっきり分かり、スポーツモードにすると明らかに加速が良くなる。コーナーを走らせてみると、ロールも抑えられていてハンドリング性能は高く、かなり楽しめた。ステアリングはフィールこそ不足しているものの、特にスポーツモードにすればちょうどいい重さになる。
1.4Lターボ車はDCT車とMT車の両方に試乗したのだが、MTは非常に優秀だった。加速はDCT車以上に力強く感じたし、変速フィールも良いので、エンジンの性能を最大限に引き出しつつ運転を楽しむことができるだろう。残念ながらMT車は走行モードの変更ができないので、ステアリングが軽すぎると感じることもある。
そして最後がディーゼルだ。ディーゼル仕様車には最高出力117PS、最大トルク25.5kgf·mの1.5L CRDi VGTエンジンが搭載される。このエンジンには6速MTと6速トルコンATが組み合わせられる。
ディーゼル車も静粛性は非常に高く、また低回転域からかなりのトルクを発揮してくれるので、パフォーマンスは必要十分以上だ。5速であっても50km/hから力強く加速してくれるので、かなり扱いやすい。
テストコースには悪路もあり、そこで乗り心地の確認もしてみた。ガソリン仕様車はクレタなどと比較すると硬めのセッティングとなっている。おそらくセルトスのほうがスポーティー志向なのだろう。一方、より重いエンジンを搭載するディーゼル仕様車はスプリングレートが変更されており、乗り心地もガソリン車より良好だ。
上述した通り、今回試乗したのはあくまでプロトタイプモデルであり、実際荒削りな部分も見受けられた。あくまで今回の試乗は車の概形を掴むためのものだ。そして我々は新型セルトスを気に入った。
見た目も良いし、車内は上質だし、装備内容も充実しており、魅力的なパワートレインの選択肢も十分にある。キアのインド市場本格参戦にあたり、セルトスは理想的な製品だと感じた。価格は110万~170万ルピー程度と予想される。競合メーカーは覚悟を決めておく必要がありそうだ。
キアはまだまだ期待できそう。
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