英国「Auto Express」によるアルピナ B4 S クーペの試乗レポートを日本語で紹介します。


B4 S

BMW M4といえば世界屈指の高性能クーペなのだが、見た目の異様さを敬遠する人も多いだろう。巨大なホイールアーチや排気管、そして筋肉質なボディには存在感があるのだが、派手すぎると感じる人もたくさんいるはずだ。

そういう人にぴったりなのがアルピナ B4 Sだ。B4 Sの価格はM4とほとんど同じで、エンジンの性能はM4よりわずかに高いのだが、なによりM4以上に「高性能な高級車」という性質を突き詰めている。最新モデルはマイナーチェンジ後の4シリーズがベースとなっており、専用アルミホイールやフロントバンパーにより見分けることができるし、内装も豪華な差別化がされている。

B4 Sに搭載されるのは最高出力440PSの3.0L直6ツインターボエンジンで、スペックではM4を超えている。従来のB4と比べても最高出力は24PS向上しており、最大トルクも6.1kgf·m向上して67.3kgf·mとなっている。

rear

そのため、性能は圧倒的だ。0-100km/h加速はわずか3.9秒で、どのギアからでも強力な加速が可能だ。アクラポヴィッチ製のエグゾーストもM4ほど大音量ではないのだが美しい音を奏でる。気分が乗っているときには狂ったような走りを見せてくれる一方で、とこからでもしっかりトルクが出るので、ピーキーなM4と比べると穏やかな運転状況でも楽に扱える。

8速AT(BMWのユニットをアルピナが独自にチューニングしている)は滑らかで変速も素早く、高級感もある。ステアフィールは物足りないと感じることもあるのだが、シャープで正確だし、シャシは粗い路面にも対応できるセッティングとなっている。

ハードコアなM4ほどフラットにコーナーを抜けられるわけではないのだが、その代わり、アルピナは路面にやたら揺すられることなく、かつ適度な硬さでスポーティーな走りを楽しむことができる。アルピナの妥協点は見事だ。M4のほうが本物のスポーツカーには近いのだが、日常的に使うのであればアルピナのほうが適している。

interior

B4 SにはLSDとミシュラン Pilot Sport 4Sタイヤが標準装備されるため、グリップ性能が向上している。おかげでM4よりも扱いやすく、結果的に気軽に運転が楽しめる車に仕上がっている。

B4 Sにはアルピナ専用のレザーシートや20インチアルミホイール、そしてリアルタイム交通情報も取得できるBMWのナビゲーションシステムが標準装備される。インテリアは非常に上質で、63,000ポンドという価格にも納得できる。センターコンソールにはアルピナではおなじみの製造ナンバーを示すプレートも付いている。