イギリス「GQ」によるプジョー e-LEGEND コンセプトの試乗レポートを日本語で紹介します。

「ノスタルジー」という言葉は当初、精神医学用語で心の病気のことだった。しかし今の時代、ノスタルジーは人々の心の支えのような存在になっている。
プジョーはこれまで、独創的なコンセプトカーを数多く生み出してきたのだが、e-LEGENDは現実的(風)なコンセプトカーだ。e-LEGENDは完全自動運転の電気自動車で、足元には49インチの大画面4Kスクリーンが広がっている。しかし、そのデザインは1968年に登場した名車、504クーペに由来し、過去への郷愁を感じさせる。
デザインディレクターのジル・ヴィダール氏は以下のように語る。
「コンセプトカーは未来に向けた車なので、未来的なデザインになるのが自然です。しかし、それだと退屈になってしまうこともあります。面白い未来を表現するなら、たとえ最新技術を持つ車だろうと、ヴィンテージの要素があってもいいんです。」
e-LEGENDには登場から51年が経過しても色褪せない504クーペのスタイリングが取り入れられており、その中身には100kWh、462PSの電動パワートレインが搭載される。前4灯、後ろ6灯のライトは504クーペ譲りで、ピラーも昔の車のように細く、ボディサイズは拡大しているものの、そのスタイリングは完璧だ。
バンパー部分もクラシックカーの細いバンパーをイメージしたものになっている。504クーペのCピラーグリルはコミュニケーションパネルとして再現されており、自動運転のモードや充電状況などを表示する。ヴィダール氏はプジョーの最新デザイン言語の確立に深く関わっており、e-LEGENDは次世代のプジョーのデザインを予告している。
我々は、スピードは出せなかったものの、e-LEGENDに試乗することができた。各社の競争が飽和した自動運転EVの世界において、結局差が出てくるのはインテリアだ。シートは鮮やかなブルーのベルベットで、1970年代の絢爛さを彷彿とさせる。フロアやルーフ周りには東南アジア原産のポルダオが使われている。
e-LEGENDには「ブースト」と「レジェンド」の2種類の走行モードが設定され、目の前に並ぶ3つのデジタルディスプレイに映る計器表示を見ながら運転することになる。
しかし、e-LEGENDの目玉となるのはやはり自動運転だ。自動運転モードにするとステアリングが格納され、計器用のディスプレイも消える。自動運転中、乗員は大画面で映画を見ることもできるし、504クーペの時代に流行ったアーケードゲーム『ポン』を楽しむこともできる。
e-LEGENDはまさに優雅な車だ。現実的にクーペの自動運転EVが市販されることはないだろうが(わざわざそんな車を購入する人は少ないだろう)、さまざまなアイディアが溢れた意欲的なコンセプトカーだと思う。ひょっとしたら、この車の一部の要素は市販車に取り入れられることになるかもしれない。
auto2014
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