インド「Financial Express」によるスズキ・エスプレッソの試乗レポートを日本語で紹介します。


S-Presso

SUVの流行はまだまだ終わりそうにない。多くの人がSUVやクロスオーバー、あるいはSUV風の車を求めている。マルチ・スズキもそんな顧客の期待に応え、SUV風のハッチバック「エスプレッソ」を登場させた。今回は、今のところライバル不在の新型エスプレッソにジョードプル周辺で試乗し、この新ジャンルがどれほど通用するかを試すことにした。

エスプレッソのデザインは賛否両論あるはずだ。ひと目見た瞬間に気に入るか嫌うかのどちらかで、中立的な人はほぼいないだろう。四角基調でAピラーは立っており、その佇まいはまさにSUV的だ。メッキのアクセント(なにか役割があるわけではない)が入ったフロントグリルや四角形のヘッドランプは車の背の高さを強調している。樹脂バンパーにもSUVらしさはあるのだが、車全体を見ると少し浮いている感じもする。タイヤは小さく、ホイールアーチの隙間も大きいので、この点は残念だ。リアデザインはシンプルで、テールランプのデザインも良い。

全体的に見ると、エスプレッソの見た目はうまくまとまっていて良いと感じた。ただし、エスプレッソのボディサイズだとやはりSUV風に見せるのには無理がある。それでも(良くも悪くも)目を引くデザインであることは間違いない。結局は好きか嫌いかでしかない。

基本的にこのセグメントの小型車の内装などどれを見ても平凡なのだが、エスプレッソの内装はなかなか面白い。オレンジのボディカラーを選ぶとセンターコンソール周辺にオレンジのアクセントが入る。まるでミニのようだ。

interior

インフォテインメントスクリーンはワゴンRと共通で、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応している。カラフルなタイル表示は分かりやすく、タッチに対する応答性も良好だ。ダッシュボードはシンプルで堅実なデザインで、質感もさほど悪くないし、作りも十分しっかりしている。フロントドアポケットは1Lのペットボトルが入る大きさで、他にも収納スペースは充実している。

エスプレッソはボディサイズが小さいにもかかわらず、室内空間は狭くない。背の高いデザインなので、後部座席に背の高い成人が座っても十分余裕がある。ただし、リアシートのクッション性やサポート性はやや不足している。

エスプレッソにはアルトK10と共通の1.0Lエンジンが搭載される。最高出力69PS、最大トルク9.2kgf·mと数字的には平凡なのだが、車重が抑えられているので不満なく走らせることができる。実際、MT車では135km/hまで加速させることができたし、110km/hくらいまでの加速であれば十分余裕があるので、高速での追い越しも問題なくできるだろう。それに、エスプレッソの競合車になるであろうルノー・クウィッドと比べると、エンジンは滑らかで静粛性も高い。

トランスミッションは5速MTと5速AGSが設定され、エンジンとの相性は良く、やたらシフトダウンする必要もない。45km/h程度であれば5速で問題なく走行できる。自動MT「AGS」は進化した最新仕様を搭載しており、他社のAMTよりも明らかに優秀だ。

rear

この価格帯の車では燃費性能も重視されるのだが、エスプレッソの燃費性能は非常に優秀だった。高速道路での平均燃費は24.6km/Lで、街中でも19.6km/Lだった。

110km/hくらいまでの直進安定性は非常に高く、この速度域からの制動性能も十分だ。常識的な速度でのコーナリング性能にも不満はない。さすがにコーナーで飛ばすとかなりのロールを呈するのだが、この種の車でそんなことをするのは馬鹿げている。

悪路やスピードバンプにおけるサスペンションの衝撃吸収性も高い。地上高が高いため、大きめの凸凹も問題なく乗り越えることができる。

価格は36.9万ルピーから49.1万ルピーで、コストパフォーマンスは非常に高い。安全性能はインド基準にしっかり適合しており、フロントデュアルエアバッグやABS、リアパーキングセンサー、速度警報が標準装備されている。プラットフォームはHEARTECTの発展形で、衝突安全性も向上しているそうだ。

総合的に見て、エスプレッソは非常に優秀な車だ。好き嫌いはあるだろうが、デザインが気に入ったら是非とも購入を検討すべきだろう。走行性能、燃費性能、実用性いずれも優れているし、ステアリングスイッチや電動ドアミラーなどもちゃんと標準装備されている。

ただし、どうしてもデザインが気に入らないなら、いくら車が優れていても購入する気にはならないだろうし、だから冒頭で「賛否両論」という表現をした。実際にどれだけの消費者がこのデザインを気に入るのかは、実際の販売台数を見るまで分からない。