イギリス「Car Magazine」によるプロトン・サトリア ネオの試乗レポートを日本語で紹介します。
※内容は2007年当時のものです。
昔、サトリアGTiという車があった。エンジンは粗くて騒々しく、四角形の排気管や取って付けたようなホイールアーチの見た目は酷かったのだが、走りは良かった。それもそのはず、シャシを設計したのはあのロータスだった。
しかし、今回の主題であるサトリアネオという車はホットハッチではない。とはいえ、サトリアネオの見た目は悪くない。個性的ではないのだが、少なくとも現代的ではあるし、中央から出ている排気管など、目を引く部分もある。
プロトンのモデルながら、一見するとインテリアはそれなりによく出来ているように見える。センターコンソールの見た目は良いし、夜間のメーター類の光り具合も魅力的だ。しかし、じっくりと眺めてみると、大手自動車メーカーの車と比べて質感が圧倒的に低いことに気付く。
室内空間もそれほど広くない。フロントウインドウがかなり傾斜しており、着座位置もやたら高いため、サンバイザーに頭をぶつけないようにやたらリクライニングした運転姿勢を取らなければならなくなってしまう。身長180cm以上ある人にはスライド幅も足りない。リアシートも同様に閉塞感があり、レッグルーム、ヘッドルームともに不足している。
では、これだけの欠点を補えるほど、サトリアネオの走りは優れているのだろうか。コーナーではノーズがしっかりと食いつき、ボディ後部もそれにしっかりとついてきてくれる。ステアリングは油圧式で、クイックで重さも適度だし、しっかりとしたフィールが存在する。
乗り心地も良いのだが、依然として静粛性には難がある。風切り音やタイヤノイズはやかましいし、「カンプロ」エンジンは4,000rpm未満ではまともに力を発揮してくれず、5,000rpm以上ではかなりうるさくなる。
95PSの1.3Lエンジンは100km/hに達するまでに12.1秒もかかり、最高速度はわずか180km/hなのだが、8,000ポンドという価格を考えれば十分以上だろう。1.6Lエンジンは最高出力113PSなのだが、0-100km/h加速は1.3L車と0.6秒しか変わらない。ただし、燃費性能は1.6Lのほうが優秀で、1.3が14.1km/Lであるのに対して、1.6は15.2km/Lだ。
サトリアネオは価格が安く、装備も充実している。廉価な1.3 SXは7,995ポンドでCDプレイヤーやエアコン、パワーウインドウも装備される。8,995ポンドの1.3 GSXにはフォグランプや16インチアルミホイールが追加され、1.6 GSXの価格は9,595ポンドとなる。サトリアネオに匹敵するコストパフォーマンスを実現している車はほとんどないのだが、あえて近い車を挙げるなら、プジョー 207 1.4Sとシボレー・ラセッティ 1.4 SEがある。
サトリアネオはプロトンの努力の結晶なのだが、依然として欠点は存在する。価格が安く、運転も楽しいのだが、質感の低さや室内空間の狭さ、静粛性の低さは問題だ。昔の中古車は12ヶ月保証が標準だったので、多くの人が新車を求めていた。しかし、今ではほとんど新車のような状態の中古車が3年保証付きで安く買えてしまうので、あえてサトリアのような車を購入する意味がなくなってきている。たとえそこにロータスの魔法がかけられていたとしても。
三菱はekシリーズの拡大版みたいな現行型を出すぐらいならこっちを“ミラージュの正当な系譜”としてブラッシュアップすれば良かったのに
auto2014
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