米国「Car and Driver」によるサーブ 9-3 ターボXの試乗レポートを日本語で紹介します。


9-3 Turbo X

9-3としては初の4WD車であるターボXはエアロを超える9-3の最上級モデルだ。アメリカでは600台限定発売となり、4ドアセダンと5ドアワゴンが設定される。ボディカラーはサーブの過去の栄光に敬意を表し、ジェットブラックメタリック一色のみの設定となる。

エンジンはエアロにも搭載される2.8L V6ターボの強化版だ。ターボチャージャーの過給圧が8.7psiから11.6psiに増加し、最高出力はエアロより25PS向上して280PSとなっている。サスペンションも強化されており、地上高も10mm程度低くなっている。

rear

ブレーキローター径はフロントが13.6インチ、リアが11.5インチで、エアロと比べるとフロント1.8インチ、リア0.1インチ大型化されている。インテリアにはカーボンファイバー調のパネルが装備され、ブースト計も用意されている。個人的には太めの本革ステアリングが気に入った。トランスミッションは標準で6速MTで、1,350ドルのオプションとして6速ATも設定される。

XWDと呼ばれるサーブの4WDシステムは基本的に前輪を駆動し、必要に応じて湿式クラッチが繋がって後輪を駆動する。ターボXには電子制御LSD (eLSD) も装備され、左右のトルク配分の調節も行う。

interior

サーブのFF車といえば多くがアンダーステア傾向にあるのだが、XWDやeLSDのおかげでこの傾向が見事に抑えられている。スロットルを調節するだけで簡単に楽しいオーバーステアを誘発することができる。

ターボXセダンの価格は42,510ドルとなる。スポーツコンビ(ワゴン)は800ドル高い。これよりも速いBMW 335xiが41,575ドルで販売されていることを考慮しても、コストパフォーマンスが高いとは言いがたい。ただ、他とは違うことに価値を感じる人は多いだろうし、サーブファンにとっては魅力的な車だろう。