英国「Auto Express」による三菱 エクリプス クロスの試乗レポートを日本語で紹介します。


Eclipse Cross

エクリプス クロスは三菱にとって大きな前進となる車だ。他の三菱車とは違い、エクリプス クロスには高級感があるし、乗り心地が良く、快適性も高い。ルーフは傾斜しているのだが、室内空間もしっかり確保されており、リアシートをスライドさせることもできる。

試乗したガソリン仕様車には運転する楽しさを失わせる残念なCVTが組み合わせられていた。MT車を選んだほうがよっぽどましだろうし、また2.2Lディーゼル仕様には普通のトルコンATが組み合わせられる。少なくともCVTのガソリン車は競合車と比べても勧めづらいのだが、CVTが気にならないのであれば、エンジン自体は静かだし性能に不足もない。

エクリプス クロスの競合車はかなり多く、プジョー 3008セアト・アテカトヨタ C-HRなど実力派のライバルが多い。エクリプス クロスも十分に実力の高いモデルなのだが、それでも厳しい戦いとなるだろう。

三菱の中ではASX(日本名: RVR)の上、アウトランダーの下という立ち位置であり、エクリプス クロスの登場により、三菱の方向性も少し変わっている。三菱は競合車よりも”より良い”車を作り上げることで販売台数の向上を企てているようだ。手法としては非常に賢明だと思う。

試乗したモデルには新設計の1.5Lガソリンエンジンが搭載されていた。ガソリン車にはCVTとMTが設定され、2.2LディーゼルはATのみの設定となる。今後、ハイブリッドモデルの追加も予想されている。

MT車は2WDのみの設定で、CVT車には4WDも設定され、またディーゼルは全車が4WDとなる。4WD車にはS-AWC (Super All Wheel Control) と呼ばれるシステムが装備され、状況に応じて各駆動輪に送るトルクの量を調整する。オート、スノー、グラベルと走行モードを変更することも可能だ。

価格は21,000ポンドからで、最上級グレードは約3万ポンドとなる。プジョー 3008と比べると安いのだが、日産 キャシュカイよりは高い。

エクリプス クロスという車名は2011年までアメリカや中国などで販売されていた「エクリプス」という小型スポーツカーに由来している。それだけにスポーティーさを重視したSUVとなっており、また「クロス」の部分はクロスオーバーに由来する。プラットフォームはアウトランダーと共通なので、アウトランダーと同じ技術を使ったハイブリッドモデル(ただしプラグインではない)の登場も予想されている。


走行性能

実際に乗り込んでみると、着座位置は比較的高いのだが、シートのサポート性は高いし、ペダル配置も適切なので、快適な運転姿勢を取ることができる。低速域での乗り心地はプジョー 3008などと比べるとあまり良くはないのだが、速度が乗れば十分に快適だ。

エクリプス クロスは高速道路や幹線道路を最も得意とする。大きめの段差の衝撃はそれなりに伝わってくるのだが、セアト・アテカよりはましだし、シートが良いのでそれほど気にならない。小径のホイールを選択すれば乗り心地はさらに良くなるだろう。

コーナーでの操作性は良好で、ステアリングもクイックかつダイレクトなのでワインディングでの運転は楽しめる。ステアリングからのフィードバックは乏しいのだが、このクラスのSUVとしては普通だ。3008やアテカほど楽しくはないのだが、この2台との差もそれほど大きくはない。

rear

エクリプス クロスを購入するならMT車を選ぶべきだろう。CVTは走りにかなり悪い影響を与えている。街中しか運転しないならCVTでも問題ないだろうが、アクセルを踏み込むと回転数がやかましく上昇してしまう。

CVTは普通のATを模した変速をするのだが、おかげでなおのこと状況が悪化している。加速させようとすると、やたら高回転を維持しつつ、”ギア”があるかのごとく変速を模していく。パドルシフトを使えばマニュアル変速もできるのだが、応答性は驚くほど悪いし、使いたいと思うような代物ではない。ただし、パドル自体のデザインはかなり魅力的だ。

ガソリン車にはMTも設定されるのだが、こちらは1.5Lターボとの相性が良い。1,800~4,500rpmあたりのスイートスポットでは滑らかで力強く、0-100km/h加速は10.3秒を記録する。

1.5Lガソリンターボエンジンは最高出力163PS、最大トルク25.5kgf·mで、競合車と比べても十分に高性能だ。静粛性も高く、特にMTとの組み合わせでは扱いやすい。0-100km/h加速はMT車が10.3秒で、4WDのCVT車は9.8秒、2WDのCVT車は9.3秒となる。

ディーゼルエンジンは最高出力150PS、最大トルク40.8kgf·mなのだが、0-100km/h加速などは不明だ。


経済性

1.5Lガソリンエンジンの経済性はあまり高くない。2WDのMT車の燃費は15.2km/Lで、4WDのCVT車だと14.3km/Lとなる。1.2Lのトヨタ C-HRは17.0km/Lだし、プリウスと共通のパワートレインを搭載するハイブリッドだと26.3km/Lだ。1.0Lのセアト アテカは19.2km/L、1.2Lのプジョー 3008は19.6km/Lといずれもエクリプス クロスより燃費が良い。

エクリプス クロスには2.2Lのディーゼル仕様も設定されるので、経済性を重視するのであればそちらを選択するべきだろう。


デザイン・装備

エクステリアデザインはコンセプト XR-PHEV IIに由来している。ルーフラインが傾斜し、深いプレスラインも入っているため、トヨタ C-HRにも近い個性的なクーペSUVとなっている。

大きなフロントグリルには大きな三菱のバッジが付いており、ヘッドランプからフォグランプまで続くメッキが目を引く。また、シルバーのスキッドプレートやルーフバーはオフロードカーらしさを主張する。

サイドを見ると、ルーフラインもショルダーラインも傾斜しているのだが、下のプレスラインは途中から急に上に上がり、変な感じになってしまっている。上下に分割されたリアウインドウのおかげで実用性や視界を犠牲にすることなくクーペ風のデザインを実現している。ただし、この部分には違和感もある。

interior

インテリアは比較的完成度が高いのだが、レクサスにも似ている。内装の材質はまさに日本車的で、質感は高いのだが見た目は良くない。ただ、基本的にどこもソフトだし、安っぽいプラスチックは足元以外にはほとんど使われていない。

エクリプス クロスにはBMWのようにダッシュボード上部に突き出る7インチタッチスクリーンディスプレイが標準装備される。ディスプレイは見た目も良いしタッチに対する反応も良好だ。トラックパッドでの操作も可能なのだが、ディスプレイを直接操作したほうが簡単だ。プジョー 3008とは違い、エアコンはちゃんと物理ボタンで操作できる。この違いは大きい。

残念なことに、ナビは装備されない。Apple CarPlayとAndroid Autoに対応しているので、ナビが付かなくても良いと考える人もいるだろうが、スマートフォンを所有していない人はナビを使えないし、スマートフォンを持っていたとしてもナビを使うために通信料がかかってしまう。


実用性

エクリプス クロスは5人乗りなのだが、リアシートは前後スライド可能なので、居住スペースと荷室のバランスを調整することができる。前席は十分に広く、ドライビングポジションも適切だし、収納スペースも豊富に用意されている。

視界は前後ともに良好なのだが、上下分割式のリアウインドウのせいでルームミラー越しに横一本の線が入ってしまうため、気になるかもしれない。ドアミラーは大きくて見やすいため、高速道路での車線変更は楽だ。

最大牽引重量は1,600kgとそれなりなのだが、キャンピングトレーラーなど重い車を牽引したいならディーゼルを選択するべきだろう。ディーゼルの場合、最大牽引重量は2,000kgだ。

エクリプス クロスは全長4,405mm、全幅1,805mm、全高1,685mmで、ASXとアウトランダーの中間だ。プジョー 3008と比べると全長、全幅は小さいながらも背は高く、セアト アテカと比べるとエクリプス クロスのほうが長く、幅は狭い。

着座位置は高めなのだが、あくまで小型SUVなので乗り降りに困るようなことはない。区分としては小型クロスオーバーSUVの範疇であり、わざわざ物差しを取り出すまでもなく、競合車とほとんど同じ大きさだ。

リアシートをスライドできるので後席のレッグルームを確保するのは難しくない。一番前までスライドさせたとしても大人が座れるくらいのスペースはあるし、一番後ろまでスライドさせればかなりの余裕が生まれる。ヘッドルームも十分に確保されているのだが、背の高い人が乗ったら頭が天井に当たりそうになるかもしれない。

Luggage

荷室容量はシートを後端まで下げた状態で341Lで、前端までスライドさせると448Lまで向上する。ただし、プジョー 3008の荷室容量は520Lもあるし、こちらの後席も十分に広い。

荷室の開口部は広く、高さも確保されているのだが、横幅はもっとあっても良かったように思うし、荷室の形も綺麗な四角形ではない。ただし、フロアはシートを倒したときでもフラットだ。荷室フロアは低いので大きな荷物を載せるのも苦ではないだろう。


安全性

ユーロNCAPでは最高評価の五つ星を獲得しており、成人乗員保護性能は97%と非常に高い数値となっている。小児乗員保護性能はそれよりも低い78%なのだが、これでも十分な数字だし、歩行者保護性能は80%、安全補助装備は71%という記録となっている。

緊急自動ブレーキや車線逸脱警報、7エアバッグ、オートハイビームは標準装備される。アダプティブクルーズコントロール、ブラインドスポットアシスト、リアクロストラフィクアラートはオプション設定で、全方位カメラも装備できる。

アダプティブクルーズコントロールは停止までサポートされており、停止後はアクセルペダルを踏むまで停止状態を保持してくれる。アクセルを踏んだ後はちゃんと前走車を自動的に追従してくれる。