カナダ「Driving」によるリンカーン MKT(2010年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


MKT

重いSUVには大排気量、大トルクのエンジンが適している。フォードのEcoBoostエンジンもSUVにぴったりのエンジンだ。

リンカーン MKTはフォード・トーラスX(旧名称はフリースタイル)をベースに125mmストレッチし、高級感を付加したモデルだ。MKTには3.5Lツインターボ EcoBoostエンジンが搭載されるのだが、最高出力はアウディ Q7の4.2L V8とほぼ同等(Q7は355PS、MKTは360PS)だ。

低回転域のトルクではEcoBoostが有利で、Q7の最大トルクが44.9kgf·m/3,500rpmであるのに対し、MKTは48.4kgf·mをわずか1,800rpmで発揮する。特にSUVではトルクが大きければ大きいほど良いし、発生回転数も低いほど良い。

このEcoBoost V6はフォード渾身のエンジンであり、従来のV8エンジン以上の性能を発揮してくれる。実際に運転してみても、大排気量V8以上にトルキーに感じられる。

rear

大きなターボチャージャー1基ではなく、小型のターボチャージャー2基を搭載したことで、低回転域からターボチャージャーを効かせることができ、結果的に低い回転域から大トルクを発揮できる。登り坂でも明らかにアウディより力強い。

一般的なSUVと比べると、MKTは全高が低く、全長が長いため、見た目はステーションワゴンにも近い。それに、エクステリアデザインは従来のリンカーンと比べると威圧的で、テールランプは未来的だし、フロントはかなり派手だ。

内装もよくできている。レザーの質感は高く、フィット&フィニッシュもデトロイト3の中ではトップレベルだし、デザイン自体も良い。なにより驚かされたのは3列目シートへのアクセス方法だ。ボタンを押すだけで2列目シートの背もたれが倒れてそのまま椅子ごと前に跳ね上がる。おかげで大柄な大人でも問題なく3列目にアクセスすることができる。

3列目シートは快適だし、レッグルームも十分に確保されている。ただし、ヘッドルームはやや限られている。

interior

MKTにはパワーテールゲートも装備されている。クローズボタンはテールゲート下端ではなく荷室にあるので、押しているうちにテールゲートが頭に激突しそうな不安もある。もちろん、衝突防止のセンサーは付いているのだが、どうしても気になってしまう。

価格は53,350ドルからで、それなりに売れそうだ。