米国「Automobile」によるレクサス RX(2020年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。


RX350

中型クロスオーバーSUVのRXはレクサスの中でもベストセラーモデルであり、当然ながらマイナーチェンジでも不用意な変更は行われていない。そのため、マイナーチェンジ前後を見分けるのはほとんど不可能だ。

それでも、車の評価を向上させる大きな変更点がひとつだけある。もっとも、V8ターボエンジンを搭載したRX Fなんてモデルが追加されたわけではない(あったら嬉しいが)。今回のマイナーチェンジで、RXには新たにタッチスクリーンが装備された。

20年近く前に登場した初代RX(日本名: ハリアー)にもタッチスクリーンが装備されていたので、そういう意味では”復活”と言ったほうがいいのかもしれない。それ以降、タッチスクリーンの廃止とともに登場したレクサスのリモートタッチシステムについては、これまで何度となく文句を垂れてきたし、事実、まるで使い物にならなかった。

新型RXにも忌むべきタッチパッドは装備されているのだが、必ずしもマウスカーソルの移動に気を使いながら画面を凝視する必要はなくなった。操作したい場所に手を触れるという、ごく常識的な動作をするだけでいい。

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タッチスクリーンの採用とともに、画面(グレードによって8.0インチと12.3インチがある)の位置はドライバーに近くなっている。さらに、Apple CarPlayおよびAndroid Autoにも新たに対応した。SiriやGoogleアシスタント、Amazon Alexaのようなボイスアシスタントにも互換性を持っており、WazeやPandora, Spotifyなどのアプリにも対応している。

他の変更点は分かりづらいものなのだが、その中にはボディ剛性の強化も含まれる。レクサスによると、構造用接着剤の使用は10倍になり、ドア開口部およびボディ後部のスポット溶接はレーザースクリュー溶接技術の採用によって補強されている。

ボディ剛性の強化に合わせてサスペンションのチューニングも変更されているのだが、これ自体はRXの走りに大きな影響を与えていない。

残念なことに、コスタリカの試乗ルートはつい最近舗装されたばかりの道だったので、正直なところそれだけ舗装の良い場所ではマイナーチェンジ前後の走りの違いはほとんど分からなかった。とはいえ、今回改めてRXに試乗してみて、RXが人気を博している理由を再認識することができた。

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今回試乗したのは5人乗り標準ホイールベースのF-Sportで、従来型との見た目の違いはフロントグリルやフォグランプ周辺のデザインくらいだ。裂けたような形のグリルにさえ見慣れてしまえば、見た目はそれほど悪くないのだが、全体的なプロポーションはロングホイールベースのほうが優れているように感じた。

由緒ある3.5L V6エンジンは従来型からのキャリーオーバーで変更点もまったくないので、それほど言及することはない。これはあまり楽しいエンジンではないのだが、少なくとも性能的な不足は全くない。同様にハイブリッドモデルのRX450hについてもパワートレインの変更はない。

新型RXのF-Sportにはアジャスタブルサスペンションが装備され、ダンパーも強化されている。決してBMWに比肩するような走りではないのだが、快適性や安定性を最重要視するファミリーカーとしては十分な走行性能だ。

RXには安全装備や運転支援装備が多数標準装備されており、衝突防止システムは暗所における自転車や歩行者の検知精度を向上している。道路標識認識システムによりダッシュボードに標識を表示することもできるし、レーンキープアシストシステムは車線が不明瞭な場合であっても一定の条件下であれば前走者についていくことができる。

我々がRXを勧めるかどうかなんて議論は何の意味もないだろう。ガソリン価格が高騰すればNXやUXの進撃が始まるだろうが、少なくとも現状ではRXの成功はほぼ確約されている。RXは見た目も悪くないし実用性も高く、インフォテインメントシステムの刷新により利便性は明らかに向上している。成功している車なのだから、無理に変えすぎないのは当然のことだ。