インド「AUTOCAR」によるスズキ XL6の試乗レポートを日本語で紹介します。


XL6

簡単に言ってしまうと、XL6はエルティガの高級仕様だ。"XL"は"Exclusive"(高級)の略で、"6"は6人乗りであることを表している。内外装ともにエルティガとは差別化されており、販売はスズキの高級店「ネクサ」で行われる。

ディーゼルは設定されないのだが、新排ガス規制「BS6」対応のガソリンエンジンにはマイルドハイブリッドシステムが組み合わせられており、トランスミッションはMTとATが選択できる。

XL6のエクステリアはエルティガよりも堅牢そうで、特に刷新されたフロントエンドは特徴的だ。ボンネットラインが高くなり、フロントグリルが大型化されたことで、SUV風の見た目に変化している。また、LEDヘッドランプもXL6の専用装備だ。

バンパーやボディサイドには樹脂パーツも追加されており、デザインに重厚感を付加しているのだが、タイヤとのアンバランスは気になる。ホイールアーチが強調されることで、わずか15インチの黒いホイールはかなり小さく見えてしまう。16インチであればもう少しましになるだろう。

ルーフレールやリアのスキッドプレート、ツートーンのテールゲートなどもXL6の専用装備品なのだが、サイドやリアからでは、注意深く観察しなければエルティガとの区別は難しいだろう。

内装はまさに高級版エルティガといった感じだ。ダッシュボードだけでなく、スイッチ類までエルティガと共通なのだが、インテリアが黒基調となっているため、上質感が増している。黒木目調パネルやフェイクレザーシートもエルティガとの差別化となっている。

interior

フェイクレザーシートはエルティガのファブリックシートより硬いのだが、それでも前席は十分に快適だ。そして、XL6の主役でもある2列目は、エルティガのベンチシートに代わり、2座のキャプテンシートとなっている。乗り降りもしやすいし、オプションでスライドシートを選択することもできる。

2列目も基本的に快適性は高いのだが、背の高い人は大腿部分のサポート性に不足を感じるかもしれない。リクライニングの角度はしっかり調節できるのだが、アームレストの角度は連動してくれないので、シートを倒してリラックスしたいときには少し気になる。また、窓が大きいにもかかわらず、ブラインドが装備されていない点も気になったのだが、総合的に見て居心地が良いことは間違いない。

エルティガ同様、XL6の2列目シートも前に跳ね上げることはできないので、3列目シートへの乗り込みはそれほど楽ではない。ただ、エルティガ同様、3列目まで十分な広さが確保されている。ニールームは十分広いし、ヘッドルームは平均的体格の成人ならちょうどよく、着座姿勢にも問題はない。

3列目シートは分割可倒式となっており、倒せばフルフラットになって、荷室は209Lから550Lまで拡大する。ただし、2列目シートはエルティガのようにフラットに倒すことはできない。

グレードは「ゼータ」と「アルファ」の2種類が設定され、いずれも装備は充実している。エルティガの最上級グレードに装備されるオートエアコンやキーレスエントリー、電動ドアミラーはちゃんと標準装備されるし、他にもLEDヘッドランプやデイライト、クルーズコントロールが装備される。フェイクレザーシートやリアカメラは上級グレードの「アルファ」のみに装備され、残念ながら自動防眩ミラーは設定されない。

XL6には新世代の「SmartPlay Studio」インフォテインメントシステムが装備される。ディスプレイは7.0インチのタッチスクリーンで、使いやすくて反応性も良く、Android AutoとApple CarPlayの両方に対応している。オプションのスズキ・コネクトを選択すると、eSIMを使ったコネクティビティ機能として、自車位置のトラッキング機能や緊急通報機能を使うこともできる。

rear

XL6の走りはエルティガとまったく変わらない。エンジンもサスペンションもまったく変更されていない。1.5Lのガソリンエンジンにはマイルドハイブリッドシステムが追加され、BS6対応となった。このシステムは加速時などにアシストはしてくれるのだが、モーターのみでの走行はできない。

XL6の走行性能は良好で、高回転域の性能も評価できる。特に3,000rpm以上のエンジン音は魅力的だ。ただし、中回転域の性能はやや物足りないので、追い越し時などにはシフトダウンが必要になるだろう。満載時であってもあまり不足を感じることはないし、急坂でもクルーズコントロールがしっかりアシストしてくれる。ただし、トルクのあるターボディーゼルエンジンに慣れた人は物足りなさを感じるかもしれない。

5速MTは操作しやすく、クラッチの重さもちょうどいい。4速トルコンATも設定されるのだが、こちらも扱いやすく、街中を普通に走っている限りではかなり滑らかだ。ただし、アクセルを踏み込んだ際には必要以上にシフトダウンしてしまうこともある。それに、AT車は燃費性能もあまり良くない(エルティガの数字だが街中で7km/Lだった)。

価格は98万ルピーから115万ルピーで、最も安いモデルの価格がエルティガの上級グレードと同等だ。MT車の「ゼータ」が同等スペックのエルティガ「ZXi+」より約2万ルピー高いのだが、この程度の価格差であれば十分納得できる。それに、そもそもエルティガの売れ筋は上級グレードなので、XL6を選ぶ人もたくさん出てきそうだ。

XL6は実力派ミニバンのエルティガをベースに適度な高級感を付加している。実用性と高級感のバランスも良く、魅力的な車に仕上がっていると感じた。ただ残念なのはディーゼルが設定されない点だ。ディーゼルが設定されればなお魅力的な車になっただろう。