英国「Auto Express」によるルノー K-ZEの試乗レポートを日本語で紹介します。


K-ZE

高品質を衝撃的な低価格で。ルノーが世界中でダチアブランドを成功させた理由はこれだ。ルノーは同様の戦略で新型電気自動車の成功を企んでいる。ルノーは中国市場でK-ZEを発表した。K-ZEは世界最大の電気自動車市場である中国で2019年夏に発売され、以降順次世界中で発売される予定となっている。

ルノーのティエリー・ボロレCEOいわく、K-ZEは中国向けのプロジェクトではなく、グローバル向けプロジェクトだそうだ。ボロレ氏は具体的な地域名は挙げなかったのだが、欧州市場もルノーにとっては重要な市場だ。今やクリオ(日本名: ルーテシア)のような内燃機関車は環境規制への対応が年々難しくなってきている。

ほとんどの自動車メーカーはテスラに対抗しようとしているのだが、ルノーは新しい道を歩もうとしている。全長3.73mの5人乗り(1人分は緊急用なので実質4人乗り)で、荷室も300L確保されており、実用性は非常に高そうだ。ルノーによると現実的な航続距離は約240kmで、価格は補助金を考慮しない状態で約13,000ポンドとなるそうだ。

今回はルノーの武漢工場周辺で試乗を行った。チーフエンジニアのジェレミー・コワフィエ氏によると、K-ZEは欧州車の品質と中国車の価格を併せ持った車らしい。実際、走りはしっかり熟成されていた。操作性も良く、タイトコーナーでも不安は感じなかった。

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K-ZEは26.8kWhのバッテリーを搭載しているのだが、車重はわずか921kgだ。競合車と比べると10~20%軽く、同等サイズのガソリン車と比べても十分に軽い。コワフィエ氏は以前アルピーヌ A110を担当していただけあって、車のバランスについては熟知しているのだろう。K-ZEの価格は競合車の半額程度なのだが、その走りはフォルクスワーゲン e-up!(25,640ポンド)やスマート EQ フォーツー(21,195ポンド)にも見劣りしない。

ただし、K-ZEに楽しさを求めることはできない。最高出力はわずか45PSしかない。ダイヤル式のギアセレクターでDを選択してアクセルペダルを床まで踏み込めば、60km/hまで7秒未満で加速できるのだが、それ以上の速度域では息切れしてしまう。高速走行はかなり厳しく、わずか105km/hでリミッターがかかってしまう。この点はe-up!に明らかに負けている。

コスト上の理由から、K-ZEには回生ブレーキも装備されていない。K-ZEの構造は非常に単純で、アクセルペダルを踏めばモーターが回り、ブレーキペダルを踏めばブレーキが作動するだけだ。EVに慣れた人は違和感を覚えるかもしれないが、ガソリン車からの乗り換えであれば大きな問題はないだろう。

NEDCサイクルの航続距離は271kmで、テストコース内での1時間の走行ではメーターに表示される航続距離が25%減少した。ルノーによると、60km/h未満での走行であれば350km程度の走行が可能らしいので、ほとんどのユーザーには十分だろう。現実的に上海や北京、あるいは世界の主要都市で40km/h以上で走行することなどほとんどない。

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急速充電器を使用した場合、0%から80%まで50分で充電できるのだが、低速充電だと4時間かかる。充電時間に関しては平凡な数値なのだが、ルノーいわく「都市部の忙しいライフスタイルにも適している」そうだ。少なくとも、低速充電で満充電まで9時間かかるe-up!よりはましだろう。

インテリアは魅力的だ。チープさはあるのだが、少なくとも見た目や作りは良い。ドアパネルやダッシュボードのプラスチックは硬いし、シートもファブリック地なのだが、ドアを強く閉めても車が壊れそうな感じはしない。どこを見ても頑丈そうで、作りもしっかりしている。

ただし、欧州市場で成功するためには安全装備を見直す必要があるだろう。中国仕様車にはABSは付いているのだがESPやサイドエアバッグは装備されていない。ただし、基本装備は欧州の競合車よりも充実しており、エアコンやパワーウインドウ、8インチタッチスクリーンは標準装備となる。コワフィエ氏いわく、中国でナビやスマートフォン連携機能のない車を売るのは自殺行為だそうだ。

K-ZEもダチア・サンデロやダスター同様、ヨーロッパでの成功が期待できそうだ。なにせ、K-ZEのプロジェクトリーダーは20年前にダチアブランドを立ち上げた張本人、ジェラルド・デトゥルベ氏だからだ。