インド「NDTV」によるヒュンダイ・ヴェニューの試乗レポートを日本語で紹介します。


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ヒュンダイ・ヴェニューはi20同様、世界に先駆けてインドで発売される予定となっている。発表はニューヨーク国際オートショーとインド国内で同時に行われた。

ヴェニューはインド初のコネクテッドカーになる予定だ。ヴェニューにはeSIMが装備されており、さまざまな機能をインターネットに繋げて使うことができる。

ボディサイズは小さいのだが、シートポジションは十分に調節できるし、荷室にも余裕がある。

エンジンは完全新設計の120PS 1.0 T-GDIのほか、i20にも搭載される83PSの1.2Lガソリンと87PSの1.4Lディーゼルが設定される。トランスミッションは1.0Lモデルには7速DCTが組み合わせられ、1.2Lモデルには5速MTが、ディーゼルには6速MTがそれぞれ組み合わせられる。

今回はヒュンダイの南陽R&Dセンターにおいて量産前のプロトタイプモデルに試乗した。ヴェニューは非常に小さい車なのだが、見た目はちゃんとSUVらしい。形やカラーコンビネーションはヴェニューよりよっぽど高価な燃料電池車のネッソを彷彿とさせる。

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試乗車は123PSの自然吸気 1.6L「スマートストリーム」エンジンが搭載されたCVT車だった。これはアメリカ市場向けのパワートレインとなる。加速性能は十分満足できるものだったのだが、CVTのせいでスロットルレスポンスは期待外れだった。ただし、インド市場向けのマニュアルトランスミッションや7速DCTとの組み合わせであればずっと楽しいだろう。

エンジン音は穏やかで、遮音性も比較的高く感じた。長距離ドライブにもぴったりだろう。街中でも高速域でも扱いやすく、コンパクトクロスオーバーの中では万能な方だ。ただし、特別走りに光るものがあるわけでもない。

とはいえ、シャシのバランスは良いし、快適性も高く、アジリティも十分に高い。スタビリティコントロールは安全志向のセッティングとなっている。

ヴェニューは成熟した車で、見た目も良いし、実用性も非常に高い。走りはそれほどスポーティーではないのだが、SUVなのだから当然だろう。特にリアの乗り心地は良く、今後登場予定の同じプラットフォームを採用する次期型i10などにも期待が持てそうだ。

操作性も良好だったのだが、今回の試乗は環境が限られていたので、すべてを知るためには公道で改めてテストする必要がありそうだ。ただ、少なくともファーストインプレッションは良かった。競合車と比べても優秀な部分は多く、フォード・エコスポーツのようなスポーティーなSUVと対峙しても独自の魅力によって戦っていけるだろう。

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世界的にはエコスポーツが大きなライバルになるのだろうが、インド市場ではスズキ・ビターラ ブレッツァが宿敵となるだろう。他にも、マヒンドラ XUV300やタタ・ネクソンなど、競合車はたくさんいる。しかし、見た目や装備に関してはヴェニューの強さが際立つ。

エンジン性能にも期待がかかる。新設計のT-GDIエンジンはインドにおけるヒュンダイ(およびキア)の未来を担うエンジンであり、早く試してみたいところだ。

ヴェニューという車名はこれまでのヒュンダイのSUVの名前とは一線を画している。パリセード(カリフォルニア州サンタモニカのパシフィック・パリセーズに由来)やサンタフェ(ニューメキシコ州の州都)、ツーソン(アリゾナ州の都市)、コナ(ハワイ西海岸の都市)はどれも車名がアメリカの地名に由来している。

厳密に言えば例外も存在する。ベラクルーズ(メキシコの都市)やクレタ(ギリシャの島)もそうだ。しかし、ヴェニューに関しては地名でさえなく、多くの人を驚かせた。とはいえ、ヴェニューはインド国内のみならず、世界中のさまざまな市場で発売されることになるので、この名前にも慣れていかなければならない。