英国「Auto Express」による新型 三菱 ASX(日本名: RVR)の試乗レポートを日本語で紹介します。
ほとんどの車は途中で1回だけマイナーチェンジして、だいたい7年から8年くらいで一世代を終える。ところが、もうすぐ登場から10年が経とうとしている三菱 ASXは2度目の大掛かりなマイナーチェンジを行った。
三菱自動車は板挟みの状態にある。2017年にルノー・日産アライアンスに加わり、現在は次世代のBセグメントSUV用新プラットフォームの開発途中だ。そのため、現在の三菱は新型車を登場させることはできず、ASXも部分改良することしかできなかった。
フロントエンドのデザインは大きく変わっており、Aピラーよりも前方はすべてが刷新されている。新型L200に合わせたデザインとなっており、より大胆な見た目へと変貌している。リアはそれほど大きくは変わっていないのだが、新設計のLEDテールランプや新デザインのバンパーが装着されている。
中身に目を向けてみると、従来の1.6Lエンジンに代わり、新設計の自然吸気2.0Lガソリンエンジンが搭載されている。最高出力は30%向上して150PSとなり、最大トルクも27%向上している。2WD車は全車5速MTだが、パートタイム4WDを選ぶと全車CVTとなる。
しかし、いくらエンジンの性能が向上したところで、基本設計の古さは隠しきれない。ヒュンダイ・コナやマツダ CX-3と比べると明らかに快適性が低いし、ターボエンジンを搭載するスズキ・ビターラ(日本名: エスクード)と比べれば明らかに弱々しい。乗り心地は跳ねがちだし、ステアフィールも欠乏している。
新設計エンジンもそれほど高性能なわけではなく、十分なパフォーマンスを引き出すためにはかなり回さなければならない。MTだろうがCVTだろうが追い越しはかなり大変で、特にMTだと遅いトラクターを追い越すためにいちいち変速操作をしなければならない。
高速道路ではドアミラーの風切り音が気になるし、道が悪いとタイヤからコンスタントに騒音が聞こえてくる。
少なくともインテリアの耐久性は高そうだ。ドアの閉まり方はフォルクスワーゲンやセアトほどしっかりしているわけではないし、足元付近に使われている材質はチープなのだが、ダッシュボードやドアパネルに使われているプラスチックは十分に上質だ。
新設計の8インチタッチスクリーンはApple CarPlayとAndroid Autoの両方に対応している。上級グレードにはビルトインナビゲーションシステムも装備されるのだが、最新のスマートフォンを持っていれば特に装備する必要がない程度のナビだ。
三菱によると、新型ASXは9月に発売予定で、2WD車(5速MT)の価格は21,000ポンドを切るらしい。18インチアルミホイールやLEDヘッドランプ、フロントシートヒーター、クルーズコントロール、オートエアコン、バックカメラは全車標準装備となる。最廉価グレードの装備内容だけ見ると、競合車よりも魅力的に思える。
さらに3,000ポンドほど高価な上級グレードにはパノラミックルーフ、レザーシート、専用メッキパーツ、各種安全装備(ブラインドスポット警報、レーンチェンジアシスト、リアクロストラフィックアラート)、ナビゲーションシステムが装備される。
4WDを選択すると価格は26,500ポンド程度となり、フル装備のスズキ・ビターラよりも1,000ポンドほど高くなってしまう。もちろん、4WDなので2WDよりはランニングコストも高くなるだろう。もっとも、2WD車の燃費もせいぜい12km/L程度だろうが。
マイナーチェンジにより見た目は大きく変化しているし、エンジンも刷新され、装備内容も見直されているのだが、古さは隠しきれていない。過去10年間でコンパクトSUV市場はかなり拡大しており、最新の実力派競合車と比べるとASXはほとんどすべての面で劣っている。走り、装備内容、実用性、何を求めるにしても、ASXはお勧めしにくい。
日本だと登場直後はかなりのちょーちん記事が定番だけど
auto2014
が
しました