英国「Auto Express」によるメルセデスAMG A35の試乗レポートを日本語で紹介します。
新型AMG A35はわずか35,500ポンドで購入することができるAMGのエントリーモデルだ。あまり面白みのないA250と比べると5,000ポンド高く、後にさらにパワフルなA45も追加予定となっている。
A45は400馬力を超えることになりそうなのだが、A35の最高出力はそれに比べると少ない306PSだ。エンジンはA250と共通なのだが、ツインスクロールターボチャージャーが装備され、シャシにも手が加えられている。
A35はAMGの中で最も安価なモデルなのだが、単に退屈なAクラスに特別なバッジを付けただけの車ではない。2013年に登場した初代A45はAMGの名前を冠するだけあってV8モンスターのDNAを継承した正統なAMGだった。それはA35も同じだ。
ベースとなっているA250は正直なところ楽しい車ではなく、むしろ至って平凡な車なのだが、メルセデスAMGは本気の変更を施した。
例えば、リアサブフレームとボディの接合部は強化され、サスペンションはほとんどすべてが新設計となっており、ブッシュやジョイント、ロアウィッシュボーンは刷新されている。さらにはステアリングの応答性を改善するため、フロントロアアームには金属ベアリングが装備され、ステアリングラックにはブレースバーが追加されている。
メカニズム面ではかなり広範囲にわたって変更されているのだが、エクステリアは1本桟のAMGフロントグリルやデュアルエグゾーストを除いて、基本的にA250と変わらない。ただし、AMGスタイリングパッケージ(2,595ポンド)を選択すれば19インチのAMGアルミホイールやプライバシーガラス、巨大ウイングが装備される。
いずれにしても、A35の走りは満足のいくものだ。まさにドイツ製ホットハッチに期待する性能をしっかりと実現している。走りは非常に成熟しており、雪に覆われたスコットランドでもその実力はしっかりと発揮された。
4WDシステムのリア側には電気機械式のクラッチが採用されており、路面状況により後輪が駆動する。基本的にはFF状態での走行を行うのだが、必要に応じて駆動力の最大50%が後輪に送られる。
走行モードは「Slippery」、「Comfort」、「Sport」、「Sport+」の4種類だ。モードに応じて4WDシステムやESPのセッティングが変化し、Sport+モードにするとトルクベクタリングがコーナリングを補助してくれる。アクセルを踏み込めば見事な排気音が響き、室内には増幅されたエンジン音が入ってくる。
ターンインはシャープだし、ロールもほとんど存在しないので、冷徹にコーナーを攻めることができる。ステアリングは重さも適度だし非常に正確だ。ただし、エンジンはレッドライン付近までしっかり回さないと最大限のパフォーマンスは引き出せない。
しかし、それさえ理解していればかなり速く走らせることができる。高回転域ではA250と同じエンジンとはまったく信じられず、開発者の努力が感じられる。
欠点もいくつかある。操作性はフォルクスワーゲン・ゴルフRのほうが優れているし、ゴルフRのほうが軽快に運転できる。それに、A35の7速DCTは実力を最大限引き出すためにはマニュアル変速しなければならない。飛ばし気味に運転してみると分かるのだが、このDCTはやたらエコ志向なセッティングになっている。とはいえ、パドルシフト変速の応答性は良い。
19インチホイール装着車のロードノイズはかなり大きく、長距離移動では気になるだろうし、乗り心地もそれほど良くはない。街中では硬すぎるし、高速域でもやや安定感に欠ける。695ポンド払えばアダプティブダンパーを装備できるのだが、この価格帯のハッチバックにそれだけの出費はかなり痛い。
A35の価格はゴルフRよりわずか670ポンド高いだけなのだが、デュアルディスプレイを含む3,895ポンドのAMGプレミアムプラスパッケージやヘッドアップディスプレイを含む1,295ポンドのAMGアドバンストナビゲーションパッケージを装備すると価格差は大きく開いてしまう。さらに外装パーツまで装備すると価格は45,000ポンドを超える。
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