Amazonプライム・ビデオで配信中の自動車番組「The Grand Tour」でおなじみのリチャード・ハモンドが英「Mirror」に寄稿した試乗レポートを日本語で紹介します。

今回紹介するのは、2006年に書かれたトヨタ MR2のレビューです。


Mk III

エンジンが乗員よりも後方に搭載されている車には何か特別感がある。後方にエンジンを搭載することで最高の重量配分を実現することができ、実際F1もその位置にエンジンを搭載している。

初めてミッドシップレイアウトを採用したロードカーはランボルギーニ・ミウラだ。ミウラは1966年にジュネーブモーターショーで発表され、かなりの反響を呼んだ。その当時、僕はまだ物心つく前だったのだが、僕もフェラーリ・ディーノやランボルギーニ・カウンタックなどのミッドシップスーパーカーに憧れた。

しかし、1970年代になるまで、ミッドシップカーはロックスターのための車だった。普通の人の手に届く最初のミッドシップカーはフィアット X19だった。ただし、X19はあまりにも錆びやすく、雨の日に運転するとそのまま溶けて消えてしまう。

続いて参戦したのが日本だ。1984年にトヨタ MR2が発表され、その翌年にイギリスに上陸した。MR2はイギリス国内だけで47,500台、世界累計で247,000台も販売された。

現在でも残存する台数は多く、MR2の中古車はミッドシップへの入門にぴったりだ。しかし果たして、どの世代のMR2を選べばいいのだろうか。


初代

Mk I

初代MR2の見た目はそれほど美しくはないのだが、角張った外見は個性的だ。1985年当時、手の届きやすい価格の高性能車といえばホットハッチくらいしかなかったため、9,295ポンドの初代MR2は人気を集めた。

初代MR2に搭載されたのはカローラのツインカムモデルとも共通の1.6L 16バルブエンジンだ。最高出力は124PSと控えめなのだが、車重が軽かったため最高速度は200km/h、0-100km/h加速は8.1秒を記録した。

しかし、MR2の強みは加速性能ではなく、運転する感覚、ハンドリングにあった。ステアリングは軽くて正確だったので、アシストの必要もなかった。初代MR2を一言で表現するなら「楽しい車」だ。

初代MR2の中古価格はかなり安い。数百ポンドの個体を買ってしまうと車検を通すのも大変だろうが、走行距離を気にしなければ問題なく走る個体を1,000ポンド未満で購入することができるだろう。

エンジンやトランスミッションはトヨタ車だけに信頼性は高いのだが、錆には気をつける必要がある。特に外見以上に中身が重要なので、シルやサスペンションマウント部は用心深く確認したほうがいいだろう。安物買いの銭失いにならないようにしっかり下調べするのが重要だ。


2代目

Mk II

2代目MR2が登場したのは1990年で、初代とはまったく違う姿に変身している。見た目はあたかもプアマンズフェラーリのようだ。当時、自動車評論家の中には肥大化して魅力を失ったと批判する人もいたのだが、それでも2代目MR2は魅力的な車だ。

STに搭載されるのは2.0Lの16バルブエンジンなのだが、最高出力は初代の1.6Lエンジンにも劣る121PSだ。もっとパフォーマンスを求めるのであれば、160PSの2.0Lエンジンを搭載するGTを選ぶ必要がある。こちらの最高速度は220km/hだ。

初期モデルはハンドリングがやや危なっかしいのだが(当初トヨタはこれを認めなかった)、後のサスペンション改良により改善し、ハンドリング性能の優れた楽しい車へと戻った。

中古価格は安いもので750ポンド、走行距離の少ないものだと3,000ポンド程度のものまである。2代目MR2は初代ほど錆に弱いわけではないのだが、確認するに越したことはないだろう。

日本から輸入された個体も多く存在する。日本専用仕様のターボモデルを選ぶのも面白いかもしれない。ただし、若者にも人気で改造車も多いので、どんな改造がされているかも確認が必要だ。個人的には無改造のモデルを勧めたい。


3代目

Mk III interior

MR2最終世代となるのが3代目だ。2000年に登場した3代目モデルは、初代および2代目とは異なり全モデルがオープンカーとなっている。そのため、荷室はほとんど存在せず、シート後方に何の役にも立たないちょっとした荷物置き場があるだけだ。

走りはこれまでと変わらず非常に楽しい。140PSの1.8Lエンジンが搭載され、最高速度は211km/h、0-100km/h加速は8秒を記録する。

価格は5,500ポンド程度が相場で、低走行距離のモデルも8,500ポンドあれば購入することができる。非常にお買い得だ。

3代目モデルは非常に信頼性が高く、錆の問題もない。ソフトトップに問題がないかどうかを調べ、修復歴を確認すれば十分だろう。