英国「Auto Express」によるメルセデス・ベンツ CLAクラスの試乗レポートを日本語で紹介します。


CLA

初代CLAクラスが登場したのは2013年のことで、Aクラスのスタイリッシュな兄弟分として地位を確立した。しかし、初代CLAは決して完璧な車ではなかった。様々な欠点に対処するため、メルセデスは新型CLAをただAクラスに手を加えただけの車からさらに進化させた。

新型CLAは見た目も従来より洗練されているのだが、それだけでなく前後のトレッドも拡大されている。その結果、CLAクラスと今後登場予定の新型Aクラスセダンとの差別化が図られている。

具体的には、フロントトレッドが63mm、リアトレッドが55mm拡大されている。この程度で大きな差は生まれないと思うかもしれないが、実際には走りも明らかに変化している。入力にはダイレクトに反応し、コーナーではほとんどロールを呈さない。

最初に試乗したモデルはCLA220dだった。このモデルは4月発売のガソリン車より少し遅れて登場する。イギリス仕様車は全車が上級グレードの「AMG Line」となり、少なくとも登場時点では「SE」や「Sport」などの安価なグレードは選択できない。

ディーゼルエンジンはパワフルで、低回転域からかなりトルクを発揮してくれる。8速AT(下のモデルでは7速ATとなる)は応答性が高くて滑らかなので、あえてパドルシフトを使う必要性もほとんど感じなかった。

rear

今回はイギリス仕様には設定されないグレード「Progressive」のCLA200にも試乗した。Aクラス同様、1.3Lターボエンジンは十分に力強く、街中だけでなく高速道路でも必要十分なパフォーマンスだと感じた。

流線型のボディのおかげもあって、静粛性は高い。従来型同様、新型CLAも空力性能が非常に高く、風切り音はほとんどなかったし、同様にタイヤノイズも気にならなかった。特にガソリン車はCクラス並みとまでは言えないが非常に静かだった。

乗り心地も良い。イギリス仕様車には全車にコンフォートサスペンションが装備される。こちらの仕様には今回は試乗できなかったのだが、CLAのアダプティブダンパーはかなり優秀だった。試乗車は大径ホイールを履いていたのだが、長距離移動も苦にならない快適性を実現できていた。

インテリアに関してはAクラス譲りで、装備は非常に充実しており、ワイドスクリーンも標準装備される。メーター部分から中央まで続く巨大ディスプレイを装備するためには1,495ポンドの追加費用が必要となる。

interior

LEDライトやプライバシーガラス、レザースポーツシート、デュアルゾーンオートエアコン、キーレスゴー、ナビゲーションシステム、ワイヤレス充電機能はすべて標準装備となる。

CLAクラスとAクラスの価格差は3,170ポンドだが、それだけ払う価値は十分にありそうだ。ただし、実用性に関してはハッチバックのほうが優れている。CLAクラスのリアシートは傾斜したルーフラインのせいもあってヘッドルームが背の高い大人には狭く感じられる。

荷室容量は数字的にはAクラスより大きいのだが、実用的ではない。荷室容量は460Lで、リアシートは40:20:40分割可倒式となっているのだが、開口部が狭いため日常的な使用にはあまり適していない。