イギリス「i」によるメルセデス・ベンツ S400dの試乗レポートを日本語で紹介します。


S400d

2017年にSクラスの新型モデルが登場した。6,000以上のコンポーネンツが刷新され、3種類の新エンジンが追加され、インフォテインメントシステムや準自動運転システムも機能向上しているのだが、あくまでフルモデルチェンジではなくモデルライフ中間のマイナーチェンジだ。

多くの場合、マイナーチェンジ程度ではほとんど何も変わらないのだが、Sクラスの場合、極端ではないものの着実に進化を続けている。これまでもSクラスは新型が登場するたびに高級車のベンチマークであり続けてきた。それゆえ、新型Sクラスも注目に値する車と言えるだろう。

今回はオプションの4WDシステム「4MATIC」を装備したロングホイールベースのS400dに試乗した。マイナーチェンジによる外見の変化はベンツオタクに聞かなければ分からない程度だ。グリルやバンパー、LEDヘッドランプおよびテールランプがわずかに変わっている。

今回のマイナーチェンジで大きく変わったのは見た目ではなく中身だ。エアボディコントロールサスペンションが標準装備されており、改良版のプラットフォームと組み合わせられている。新型Sクラスにはメルセデスの運転支援技術のすべてが集約されている。

rear

マイナーチェンジの目玉となるのが新設計のエンジンだ。12年間にわたってメルセデスを支えてきた3.0L V6ディーゼルエンジンに代わり、S400dには新設計の2.9L 直6ターボディーゼルエンジンが搭載されている。最高出力は340PSで、BMW 730Ldの3Lディーゼルを20PS、アウディ A8 3.0 TDIを72PS、それぞれ上回っている。

可変バルブ機構を備える新ディーゼルエンジンは従来のV6ディーゼルより静粛性が向上している。アイドリング時にはほとんど無音だ。新設計のトルコン9速AT「9G-TRONIC」を介して滑らかに、そして俊敏に回り、見事に遮音された車内にはわずかな低音しか入ってこない。

S400dの車重は約2,000kgもあるのだが、最大トルク71.3kgf·mがわずか1,200rpmから3,200rpmの間で発揮されるため、中域でのトルク不足はまったく感じない。0-100km/h加速は5.2秒で、カタログ燃費は17.9km/L、CO2排出量は147g/kmと、パフォーマンス、環境性能ともに驚異的だ。

乗り心地は至高だ。どんな道であろうと見事にいなして穏やかに突き進む。これに関しては740dやA8には決して真似できない。

interior

標準装備のダイナミックセレクトでスポーツモードを選択すると、車格を考えれば驚くほどのグリップ性能や操作性を発揮してくれる。ステアリングは中立付近では軽くて曖昧さもあるのだが、重さの増し方は見事だ。飛ばしてもトラクションコントロールやスタビリティコントロールが過剰に介入することはなく、そんな運転をしてもフロントシートは非常に快適だ。当然、ロングホイールベースモデルなのでリアシートは広大だ。

内装の変更は多くないのだが、質感は向上している。ダッシュボードには計器用とインフォテインメント用の2つの高精細ディスプレイが配置されている。あちこちに先進技術が満載されており、運転支援技術から準自動運転まで至れり尽くせりだ。

自動操舵機能は30秒以上は使えないのだが、ブレーキやアクセルを自動で操作するクルーズコントロール機能は、メルセデスが2020年登場予定の次期型Sクラスで実現すると公言している完全自動運転への一歩と言えるだろう。

高級車の購入層の中には、メルセデス・ベンツ程度のブランドでは満足できない人もいるだろう。そういう人達はロールス・ロイス ゴーストやベントレー・フライングスパーなどの由緒あるモデルにしか興味を持たないだろう。しかし、そんな人達であっても、一度でもSクラスに乗れば、この車の完璧さを理解するはずだ。新型Sクラスは、高級車を求める人のほとんどを満足させられる車に仕上がっている。