英国「Auto Express」によるフェラーリ F50のレビューを日本語で紹介します。


F50

フェラーリはF40の成功を受け、創業50周年記念限定車の開発を決定した。しかし、50周年を目前としたフェラーリがどうやってF40を超える車を作ろうとしたのだろうか。答えは単純だ。F40の後継車、F50を作ればいい。

F50にもF1の技術が使われている。例えば、F50の4.7L V12エンジンは1990年にアラン・プロストとナイジェル・マンセルが運転したF1カー、フェラーリ 641に搭載された3.5L V12エンジンをベースとしている。この系統のエンジンは1990年代に活躍した333SPにも搭載されている。

ただし、セミオートマチックトランスミッションを採用するF1カーとは違い、F50には6速MTが採用されている。シフトゲートはフェラーリ伝統のHパターンだ。

F50のエクステリアはピニンファリーナが担当したのだが、曲面の多用された膨らみの多いボディとF40風リアウイングが組み合わせられたデザインはそれほど評価が高くない。

レーシングカーベースのV12エンジンにはかなりの冷却風が必要なので、ボディには多数の通気口が用意されており、リアは温まった空気が出ていけるように全体が大きなグリルとなっている。

interior

エンジンだけでなく、プッシュロッドサスペンションにもF1の技術が使われている。アダプティブダンパーにはF1で使われた電子制御が応用されている。

スピードラインの軽量マグネシウムホイールはF1のタイヤサプライヤーでもあるグッドイヤー製のタイヤと組み合わせられている。乾燥重量は1,230kgで、最高出力は500PSを超え、最高速度は325km/hとされている。

残念ながら、F50はF40ほどの名声を得ることはできなかった。製造台数はわずか349台で、1,300台以上が製造されたF40と比べるとかなり少ない。ちなみに現在の価値はどちらも互角だ。

しかし、F50は歴代フェラーリの中でもかなり走りの良いモデルだ。ステアリングはフィードバックに富んでおり、応答性も非常に自然で、電子制御が邪魔になることもない。