英国「Top Gear」によるシトロエン C3の試乗レポートを日本語で紹介します。


C3

新型C3にはC4カクタスの要素が取り入れられている。C4カクタスはシトロエンの当初の想定よりも売れており、しかも売れ筋となっているのは利益率の高い上級グレードだ。それゆえ、C3がC4カクタスの流れを汲むのも当然だろう。

カクタスは奇抜な車であり、だからこそ売れたのだろう。しかし、C3はC4カクタスとは違い、本来は保守的なモデルだ。それゆえ、C3には真っ当なアナログのスピードメーターやタコメーターがある。

C3ではサイドのエアバンプを外すこともできるし(個性的でスタイリッシュなのにあえて外す意味は分からないが)、リアサイドウインドウをまともに開けることも、リアシートを分割して倒すこともできる。

要するに、カクタスとの類似点はあくまでも見た目だけだ。C3はカクタスのような個性を持ちつつも、実用性は犠牲にしていない。

C3の走りは優秀なのだが、シャープでかっちりとしたフィエスタとは方向性が異なる。ステアリングのフィードバックもそれほどないのだが、それでもステアリング操作は直感的に行えるし、軽いので操作しやすい。ボディの動きは多少気になるものの、小型車ゆえに魅力とも言える。

rear

今回試乗したのは最高出力112PS、最大トルク20.9kgf·mの1.2L 3気筒ガソリンエンジンを搭載するモデルだ。約1,050kgの車には必要十分な性能のエンジンで、エンジン音も気にならない。どの回転域でも使いやすいのでやたら変速する必要もないのだが、シフトレバーは緩慢で変速は楽しめない。

乗り心地はソフトながら優秀とまでは言えない。とはいえ、車格を考えれば不満はない。ハンドリングも乗り心地もプラットフォームを共有しているプジョー 208に近い。ただし、サスペンションノイズは208より静かで、これまでのPSA製小型車のように悪路を走るたびにノイズに悩まされることはない。

100km/h以上の速度域だと風切り音はかなりやかましく残念だった。ただし、今回の試乗車は超初期ロットであり、製造時期が後になればこういった点も改善していくだろう。

幅の広めなシートの見た目はカクタスのそれに似ており、座り心地も良い。サポート性も非常に高く、コーナリング時にもしっかりと乗員を支えてくれる。

インテリアはモダンで個性的だ。角の取れた直線基調で、エアバンプと同じ模様がドアパネルや天井にも入っている。シート地はさらさらで家のソファにも使いたいくらいだ。ただし、ドアパネルには硬いプラスチックも使われている。

interior

エクステリアには多数のカスタムオプションがある。エアバンプもそうだし、ルーフカラーは3色から選択できる。ルーフをボディと同色にすることもできるし、別色にして目立たせることもできる。

先進装備はそれほど充実していないのだが、インフォテインメントシステムは進化している。208やカクタスと比べるとグラフィックも応答性もかなり向上している。スマートフォンのミラーリング機能もあるのでナビを装備する必要もない。

安全装備に関しては、車線逸脱警報、制限速度検知、クルーズコントロールは全車に標準装備され、ブラインドスポットモニタリングとバックカメラは上級グレードに装備される。純正のドライブレコーダーも用意される。これを使えば事故が起きたときに事故前後の映像を記録することができるし、ドライブの様子を録画してスマートフォンのアプリと連携させ、SNSに投稿することもできる。