英国「Auto Express」によるキャデラック CTSの試乗レポートを日本語で紹介します。

※内容は2004年当時のものです。


CTS

キャデラックと聞いて、巨大な羽根だらけのピンクのオープンカーを想像する人も多いだろう。しかし、そんなイメージは捨てたほうがいいかもしれない。キャデラックは高級セダンやSUV、高級オープンカーを引き連れ、イギリスに再上陸する。

中でもキャデラックにとって最も重要なモデルがBMW 5シリーズと同じクラスに属するCTSという車だ。今回、我々はオランダで登録された左ハンドル仕様のモデルにイギリス国内で試乗し、その実力を確かめた。

アメリカ製セダンを選ぶ理由のひとつとして、デザインがあるだろう。キャデラックのデザイナーはヨーロッパ人が考えるアメ車の特徴をしっかり取り入れ、CTSも角張った派手な見た目になっている。

このデザインは明らかに賛否両論ありそうだが、ウエストラインが高く角張ったCTSのデザインがスーパーカーのごとく注目を集めるのは少なくとも確かだ。ただ、試乗車に装着されていた16インチホイールは小さすぎるように感じた。

rear

運転していて小さく感じることはない。キャデラックは競合車から顧客を奪いたいと考えているようだが、ボディサイズの大きさは隠しきれない。しかも、左ハンドルだったので特にコーナーでは扱いづらかった。ただし、ステアリングの応答性やFRシャシの性能は良好で、アメ車的なソフトさはない。

CTSの主戦場となるのはやはり高速道路だろう。サスペンションにはちゃんと先進技術が使われているのだが、競合車と比べると路面の衝撃は伝わりやすく、風切り音やタイヤノイズも気になる。

イギリス市場向けには181PSの2.6L V6と218PSの3.2L V6エンジンが設定される。試乗車には3.2Lエンジンが搭載されており、トランスミッションは5速ATだった。エンジン音は荒々しく、ATの性能も微妙で、特に中回転域は不足を感じた。

イギリス仕様車には装備が満載されるらしい。レザーシートなども装備されるのだろうが、使われているプラスチックの安っぽさは気になった。それに、ボディサイズは大きいのだが、リアシートの居住空間は限られている。

interior

CTSに大きな欠点はなかったのだが、競合車は非常に手強い。とはいえ、アメ車のイメージに魅力を感じる人にとっては、価格如何によっては購入候補になるだろう。それでも、イギリスでブランドイメージを確立するのはかなり難しいかもしれない。