英国「Auto Express」によるトヨタ・ヤリス(日本名: ヴィッツ)の試乗レポートを日本語で紹介します。
ヤリスはトヨタの中でも売れているモデルであり、フォード・フィエスタ、ヴォクスホール・コルサ、フォルクスワーゲン・ポロなど、競合車も人気車揃いだ。トヨタは並み居る競合車に対抗するため、ヤリスのマイナーチェンジを行った。
今回のマイナーチェンジはそれほど大掛かりなものではないのだが、新顔となったWRC仕様のヤリスからインスピレーションを受けた新しいフロントデザインは従来よりもスポーティーになっている。リアはまったくの新デザインとなり、新デザインのライトに合わせてリアハッチも完全新設計となっている。
従来のヤリスもスタイリッシュだったのだが、マイナーチェンジにより印象はなお良くなっている。少なくともポロよりは明らかに個性的だし、同様に日本製の2台の競合車(日産 マイクラとスズキ・スイフト)と比べても個性は強い。とはいえ、5ドアしか設定されないし、さすがにフィアット 500やミニほど個性があるわけでもない。
インテリアにも変更は施されているのだが、デザイン自体はそれほど変わっていない。内装に使われる材質に変更があり、新たにブルーやレッドなどの内装色も追加されたのだが、それでもインテリアに関しては最新の競合車と比べると時代遅れな感がある。
作りはしっかりしているのだが、安っぽいプラスチックが使われており、見た目の質感も低いので、数年前の車であることがすぐに分かる。ポロどころかマイクラさえヤリスと比べればよっぽど現代的だし、インフォテインメントスクリーンの性能も高い。ヤリスの7インチディスプレイは運転席からだと見づらいし操作もしづらい。ただし、Googleストリートビューに対応していたり、Wi-Fi機能があったりする点は便利だ。
メーターの間には4.2インチの液晶ディスプレイが追加され、そこには有用な情報がしっかり表示される。それでも、並み居る実力派の競合車と比べてしまうと、ヤリスのインテリアは至って平凡に感じられる。
今回のマイナーチェンジの目玉は新エンジンの設定だろう。従来の1.33Lユニットに代わり、新設計の1.5Lガソリンエンジンが搭載される。新エンジンもターボエンジンを搭載する競合車と比べるとトルクの余裕はないのだが、1.3Lエンジンのようにパワー不足を感じることはない。
性能を最大限引き出すためにはそれなりに回さなければならないのだが、排気音がスポーティーなので回すのは楽しい。6速MTの性能も必要十分ではあるのだが、マツダ2(日本名: デミオ)ほどの活力はない。エンジン性能でも変速の滑らかさでもマツダ2には劣る。
燃費は20.9km/Lと従来よりわずかに向上している。対するポロ 1.2 TSI は22.2km/Lを実現しているのだが、実走行では自然吸気のヤリスのエンジンもポロに近い燃費を実現できるだろう。ただ、TSI エンジンのほうがずっと力強く、完成度も高いし、最高出力の数字はトヨタと一緒なのだが、加速性能は TSI のほうが明らかに優れている。0-100km/h加速はポロが9.3秒、ヤリスは11秒となる。
トヨタによると走行性能も改善しているらしいのだが、実際に運転してみると何より快適性を重視したセッティングであることは自明で、ステアリングは軽いし、コーナリング中にはかなりのロールを呈する。その代わり、街中のスピードバンプを乗り越えた際にも不快感はなかった。
室内空間はマイナーチェンジで変わっていない。荷室容量は286L(ポロより6L広い)と広大なのだが、リアシートのヘッドルームはポロのほうが広い。ちなみにレッグルームはポロとほとんど変わらない。
全車にトヨタセーフティーセンスが標準装備される。これには衝突防止システムや車線逸脱警報、オートハイビームが含まれる。イギリスで最量販グレードとなっている「Icon」には新デザインの15インチアルミホイールやメーター内4.2インチディスプレイ、7インチインフォテインメントディスプレイ、バックカメラが装備される。
道路標識認識機能も装備されていたのだが、試乗中には実際の制限速度とナビに表示される制限速度が食い違うことが何度かあった。また、安全装備では自動ブレーキや歩行者検知システムが標準装備されているマイクラに劣る。
結局、ヤリスはどの特徴も突出していない。フィエスタほど運転が楽しいわけでもなければポロほど快適なわけでもなく、スズキ・バレーノほど室内が広いわけでも、フィアット 500ほど個性的なわけでもない。
auto2014
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