英国「Auto Express」によるマツダ3 SKYACTIV-D 1.8 の試乗レポートを日本語で紹介します。


Mazda3

Cセグメントハッチバックは新車市場の中でもかなり競争の激しい領域だ。フォード・フォーカスとフォルクスワーゲン・ゴルフがここ数十年間安定した地位を守り続けており、この2台を打ち負かすためには相当魅力的な個性がなければならない。中でも新型マツダ3は抜きん出て有望そうだ。4代目となる新型モデルには驚かされた。

新型マツダ3に採用されている完全新設計プラットフォームに合わせて設計された先進的なSKYACTIV-Xガソリンエンジンが後に追加予定となっているのだが、現時点では設定されない。今回はディーゼル車に試乗したのだが、果たしてこちらの実力はいかほどなのだろうか。

2.0Lのガソリンエンジン車にも以前に試乗しているのだが、その際には(特に低回転域での)パフォーマンスの不足が気になった。その点、この1.8Lディーゼルエンジンには不足は感じない。最大トルクはわずか1,500rpmから発揮されるので、高いギアでも息切れすることはない。

ただ、ディーゼルエンジンが完璧なわけでもない。変速後にアクセルを踏むとターボラグが感じられ、滑らかに加速させるのは難しい。マニュアルトランスミッション自体の完成度はホンダ・シビックと並んでこのクラスの中でも非常に良いので、それだけに残念だ。

パフォーマンスが非常に高いのであればターボラグも許容できるのだが、このエンジンの性能はごく平凡だ。0-100km/h加速は10.3秒とゴルフの 1.6 TDI とさして変わらない。しかも、ゴルフにはより高性能なディーゼルが設定される一方で、マツダ3の選択肢はこれしかない。

rear

その代わり、経済性は高い。今回はポルトガルの曲がりくねった沿岸道路を中心に、街中や高速道路も少し運転したのだが、全行程の平均燃費は18.2km/Lで、普通に運転すれば19.6km/Lというカタログ燃費の数字も実現できそうだ。新型マツダ3には減速時にエネルギー回生が可能なマイルドハイブリッドシステムや非常に反応の早いアイドリングストップシステムも備わっている。

もう少しまともなエンジンさえ搭載すれば、クラストップレベルのドライバーズカーになれるだろう。ワインディングでの運転は非常に楽しかった。競合車と比べるとロールはわずかに多めなのだが、おかげで見事なバランスのシャシの限界をしっかり感知することができる。前輪駆動のMX-5(日本名: ロードスター)のような車だ。

ひょっとしたら、最も驚いたのは静粛性の高さかもしれない。風切り音やタイヤノイズはかなり抑えられている。大径の18インチホイール装着車だと乗り心地がやや跳ね気味になるのだが、室内に伝わってくる音はあのゴルフよりも抑えられている。

グレードは5種類設定されるのだが、どれも装備は充実している。全車にLEDヘッドランプおよびテールランプ、ドアミラーヒーター、リアパーキングセンサー、レーンキープアシスト、レーダークルーズコントロールは標準装備される。8.8インチのインフォテインメントシステムも優秀だ。グラフィックはシャープだし、タッチパネルではないのだが、BMW式のダイヤルは上質で扱いやすい。

視界はかなり悪いのだが、幸いブラインドスポットモニタリングも全車標準装備となる。安全装備は満載されているのだが、小さなリアウインドウや太いCピラーのせいで駐車場での取り回しや車線変更には苦労する。

interior

インテリアもエクステリア同様、非常にシンプルなデザインとなっている。かといってエルゴノミクスが犠牲になっているわけではなく、ドライビングポジションは完璧だし、シートにもステアリングにも十分な調節幅が確保されている。

ただ、なにより驚くべきは見た目以上に高い素材の質感だ。どこを探しても安っぽいプラスチックなど使われておらず、ほとんどあらゆる部分が(フェイクも含むが)レザーや上質なゴムで覆われている。ゴルフどころかBMW 1シリーズに匹敵する質感だ。

ただ、1シリーズ同様、室内空間はそれほど広くない。リアシートに平均的な体格の成人が座ればヘッドルームの不足を感じるだろうし、リアはウインドウも小さいので閉塞感は非常にある。荷室容量は351Lとゴルフやフォーカスと比べるとわずかに狭いのだが、それ以上に問題なのが開口部の小ささだ。

ディーゼルモデルの価格は22,395ポンドからとなる。これはゴルフの 1.6 TDI SE Navigation(22,005ポンド)に近い価格だ。実用性の欠如に耐えられ、かつ近所に見通しの悪い交差点がないなら、マツダ3こそ最高の車なのかもしれない。