英国「Auto Express」によるトヨタ・カローラ サルーン ハイブリッドの試乗レポートを日本語で紹介します。
トヨタ・カローラ サルーンはイギリスでの販売台数がかなり少なく、Cセグメントの中でもニッチな選択肢だ。しかし、トヨタにはちゃんと戦略があるらしい。
イギリスで年間販売台数約4,000台を記録していたトヨタ・アベンシスは2018年に廃止された。トヨタはこのカローラ サルーンをアベンシスの穴を埋めるモデルに仕立て上げようとしている。
セダンのホイールベースはステーションワゴンと共通でハッチバックよりも長いので、室内空間はハッチバックよりも広い。しかも価格はハッチバックとまったく同じで、イギリス仕様車はアベンシスにはなかったハイブリッドしか設定されない。
ここまでは良いのだが、アベンシスとは違い、「イギリス製」というセールスポイントは失ってしまっている。カローラの中でもハッチバックとワゴンはイギリスで製造されるのだが、セダンはロシアやヨーロッパ東部での販売台数が多いため、イギリスのバーナストン工場ではなくトルコで製造されている。
エクステリアはバンパーやヘッドランプ、テールランプがハッチバックとは差別化されており、不思議なことにボディカラーの選択肢も増えている。グレードは3種類で、最上級グレードには17インチホイールも装備される。
フロントには2人の大人が余裕を持って座れるスペースがあり、リアシートも長いホイールベースのおかげでニールームやレッグルームに不足はないのだが、ルーフラインの関係上、ヘッドルームにはそれほど余裕がない。フォルクスワーゲン・パサートやフォード・モンデオとの車格の差が最も如実に表れているのがここだ。
荷室容量はハッチバックよりも広い471Lなのだが、セダンなので言うまでもなく開口部は狭く、あまり大きな物は入らない。とはいえ、容量は十分にあるので、スーツケース2つとビジネスバッグ2つくらいなら問題なく積載することができる。
セダンにはハッチバックやワゴンに設定される2.0Lハイブリッドは設定されず、122PSの1.8Lハイブリッドしか選択できない。0-100km/h加速は11秒で、不足を感じるほどではないのだが、かといって決して速いわけでもない。ただしトヨタによると、スロットル操作を丁寧に行えば街中では半分程度の距離をモーターのみで走行できるそうだ。これはタクシーとして使う人にはかなりの魅力だろう。
CO2排出量は16インチ車が77g/km、17インチ車が83g/kmと低く、カンパニーカーとして使うのであれば、マツダ3 やヒュンダイ i30、アウディ A3 よりも税制上は有利となる。
正直に言ってしまうと、敏捷性は低いし、加速時は不快だ。アクセルを踏み込むとエンジンの回転数が急上昇してかなりやかましい。とはいえ、一定速度で走行すればエンジンはかなり穏やかだ。110km/h巡航時にメーターを眺めているとかなり頻繁にエンジンが停止して驚いたほどだ。
平坦な高速道路では1,000rpm程度で走れるし、この回転数だとエンジン音もほとんど聞こえない。ドアミラーからわずかな風切り音は聞こえてくるのだが、この状況で最も気になるのはタイヤノイズだ。とはいえ、決して耐えられないレベルではなく、高速クルーザーとしてもちゃんと使える。
ワインディングロードとの相性はそれほど良くないのだが、これはシャシというよりはハイブリッドシステムに問題がある。シャシ自体は優秀で、コーナーでも落ち着いており重さもさほど気にならない。しかし、シャシが限界を迎えるよりもずっと前にCVTが落ち着きを失ってしまう。カローラハイブリッドは決して運転していて楽しいクルマではない。
インテリアは基本的にハッチバックやワゴンと共通だ。なので質感は十分に高く、手が触れるような部分はどこもソフトな素材が使われている。数年間酷使しても問題はなさそうだ。
残念ながらインフォテインメントシステムもハッチバックと共通だ。このシステムは使いづらいしフリーズしやすく、Apple CarPlayやAndroid Autoのようなスマートフォン連携機能もない。
ハッチバックにハリアーの2000㏄ターボエンジンを乗せたモデルがあれば、個人的には魅力を感じます。
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