米国「The Drive」によるフォルクスワーゲン・ジェッタ(2019年モデル)の試乗レポートを日本語で紹介します。
1979年のフランクフルトモーターショーで発表されてから、ジェッタという名前は40年の歴史を積み重ねてきた。当時よりは少し大柄になったものの、ジェッタはいまだ健在だ。フォルクスワーゲン車に広く使われるMQBプラットフォームを採用することで、低価格を維持しつつも充実した装備を実現している。
旧型ジェッタ同様、スタイリングは保守的なのだが、フロントグリルは多少威圧的になり、ボディサイドには空力性能に配慮したプレスラインが入っている。新型ジェッタはインフォテインメントシステムも改善されており、アナログメーターに代わって10.3インチスクリーンの「デジタルコックピット」が装備される。
エクステリア同様、インテリアに関しても保守的なデザインで、シートはサポート性が良く、操作系は最低限のものしかなく、レイアウトも整理されているので、まさにドイツ人が作った車という感覚がある。
毎日使う車として考えると、嬉しい特徴と言えるだろう。内装のフィット&フィニッシュも上質だし、操作系はどれも分かりやすく使いやすい。ジェッタには良くも悪くも驚きが存在しない。
前席は旧型ジェッタと比べるとわずかに広くなっているのだが、その代償としてリアのレッグルームはわずかながら狭くなっている。それでも、前席は広いし、リアにはちゃんとチャイルドシートを設置することができる。リアのLATCHアンカーも使いやすい。
400Lのトランクは広大とまでは言えないものの、前後に長くて箱型なので、ベビーカーなど子供がいる家庭の必需品も載せやすい。リアシートは倒すこともできるのだが、ボディブレースのせいで開口部は限られており、長尺物や大きな荷物を載せるのは難しい。
前方衝突警報や自動緊急ブレーキ、ブラインドスポットモニターなどの先進安全装備はベースグレードの「S」ではオプションとなるものの、それ以外のグレードでは標準装備となる。また、エアバッグ展開時やシートベルトテンショナー作動時に燃料ポンプが停止し、室内灯とハザードを点灯させてドアを解錠するシステムが全グレードに装備される。上級グレードの「SEL」および「SE」にはアダプティブクルーズコントロールが標準装備されるのだが、今回試乗した「SE」には装備されていなかった。
ジェッタの操作性は従来と変わらず優秀で、新型モデルには応答性の高い1.4L 4気筒ターボエンジンが搭載される。最大トルクはわずか1,400rpmから発揮されるので、街中でも非常に扱いやすい。
スポーティーな見た目の「R-Line」も含め、全グレード1.4Lエンジンのみの設定となるのだが、このエンジンの最大の魅力は経済性の高さだろう。通常の走行条件で15km/L前後の燃費を実現し、高速燃費は17km/Lを超える。
ステアリングは応答性が高く、乗り心地も良い。子供を寝かしつけておきたい親にとっては嬉しいところだ。それに、街中だけでなく、高速道路でも楽に運転できる。
価格は19,595ドルから28,545ドルで、コストパフォーマンスは高い。現実的には、ファミリー層が求めているのはジェッタより高価で燃費も悪いクロスオーバーSUVなのだが、それにこだわらないならジェッタも素晴らしい選択肢になりうる。
ジェッタは快適で見た目も良く、燃費性能も高い。小柄さや地味さを受け入れられるなら、検討する価値は十分にあるだろう。