インド「Financial Express」によるスズキ・ワゴンRの試乗レポートを日本語で紹介します。


Wagon R

スズキ・ワゴンRはマルチ・スズキのみならず、インドの自動車業界全体から見ても大きな成功を収めたモデルだ。正直に言えば、初代ワゴンRが登場したとき、これほどまでに成功するなどとはまったく思っていなかった。背の高い箱型のデザインは決して魅力的とは思えなかった。

ところが、ワゴンRは総計22万台以上を売り上げるほどの成功を収めている。果たして、どこから見ても魅力的に見えないような車がなぜこれほどインド人の人気を集めたのだろうか。その答えは実用性と経済性にある。

そんなワゴンRに新型モデルが登場した。スズキによると、あらゆる面で従来より良い車に仕上がっているそうだ。今回は新型ワゴンRに試乗し、その完成度を確認することにした。

新型ワゴンRも背の高い箱型であるという点は変わっていない。絶対的にデザインが優れているとは決して言えないのだが、少なくとも破綻はない。新しいHEARTECTプラットフォームが採用され、ボディサイズは全体的に拡大している。

曲線的なヘッドランプにはモダンさがあるし、ボディサイドはホイールアーチ周辺がわずかに膨らんでいるので力強さも感じる。Cピラー前方の黒い樹脂パーツによりフローティングルーフとなっており、上質感が増している。リアの縦長テールランプは個人的に気に入った。ボルボ車のようにも見えるのだが、少なくとも見た目は良い。ナンバープレート上部のメッキも良いアクセントになっている。

全体的に見た目は従来のワゴンRよりずっと良くなっているように思う。美しいとまでは言えないものの、車格は上に見えるようになったし、従来より高級感も増している。見た目が良くなっただけでも購入者にとっては大きなメリットだろう。

interior

新型モデルはインテリアも大幅に変化している。従来はグレーだらけの単調なインテリアだったのだが、新型はツートーン基調となっている。競合車と比べて特別上質なわけではないのだが、プラスチックの質感も高い。

注目の装備は7インチのインフォテインメントスクリーンだ。これはグラフィックが良いだけでなく、操作もしやすい。Android AutoやApple CarPlay、SmartPlay Studioにも対応している。USBポートや12Vソケット、AUX入力端子も用意されており、拡張性も十分に高い。

前席はクッション性が高くて快適だし、フロントには収納スペースもたくさん用意されているので、長距離移動も快適にこなすことができる。オーディオやハンズフリーフォン用のステアリングスイッチも装備されており、ステアリング自体も握りやすい形状だ。スピードメーターはアナログで、エンジン回転数や平均燃費、走行距離、燃料計はデジタル表示される。

リアシートはフロント以上に快適だ。全長、全幅、ホイールベースがすべて拡大しているので、レッグルームはかなり余裕がある。上級ハッチバックや中型セダンにも引けを取らない広さで、背の高い人も問題なく座れる。特に背の高い人はヘッドルームの高さを気に入るだろう。ただし、座面部分のサポート性は少し物足りなさも感じた。

従来型ワゴンRは高速性能に不満を感じる人もいただろう。新型にも従来同様1.0Lエンジンは引き続き設定されるのだが、新たに新設計の1.2Lガソリンエンジンも追加された。このエンジンは最高出力82PS、最大トルク11.5kgf·mを発揮する。最上級グレードのAGSモデルでも車重はわずか845kgなので、高速でも軽快に走ってくれる。エンジンは滑らかに回り、100km/h超でもNVH性能は高い。また、低回転域のパフォーマンスも高いので、街中でも非常に扱いやすい。

トランスミッションは5速MTと5速AGSが設定される。スズキはインド市場で昔からAMT車を販売しているので、ワゴンRのAGSもインドの走行条件にうまく合ったチューニングとなっている。それでも変速時にはラグがあるのだが、変速ショックはそれほど大きくないし、AMT車にありがちなキックダウン時のもたつきもない。

rear

カタログ燃費はMT車もAGS車も変わらず21.5km/Lで、ほとんどを高速で走った今回の試乗時の平均燃費は19.2km/Lだった。燃費性能に関しても新型ワゴンRはなかなか良いと言えるだろう。

ワゴンRは決して運転好きが選ぶような車ではないので、コーナリング性能について細かく語るのは無駄だろう。それでも、少なくとも旧型ワゴンRよりは走行安定性は向上しているし、制動性能も良くなっている。それに、旧型で気になった120km/h以上での浮遊感も抑えられている。ただし、ステアリングは軽くてフィードバックもほとんどないので、少し不安感はある。ただ、この軽さは街中や駐車場では強みになる。

乗り心地は硬すぎず柔らかすぎずで、この種の車としては理想的だ。足回りは非常に自然に仕上がっており、路面の衝撃もうまくいなしてくれる。

HEARTECTプラットフォームの採用により、軽量化と同時に剛性も向上しているそうだ。そのため、衝撃吸収性も上がり、衝突安全性も向上しているはずだ。ABSやEBD、運転席サイドエアバッグ、リアパーキングセンサー、速度警報、シートベルト警報は全車に標準装備となる。

新型ワゴンRは従来モデルから着実な進化を遂げている。ボディサイズは拡大し、デザインも良くなっている。価格は41.9万ルピーから57.8万ルピーとコストパフォーマンスはかなり高い。旧型モデルからの乗り換えでもかなり満足できるはずだ。買い替え需要も考えれば、新型も大成功を収めるであろうことは想像に難くない。