英国「Auto Express」によるフォルクスワーゲン・ゴルフRの試乗レポートを日本語で紹介します。
※内容は2010年当時のものです。
フォルクスワーゲン・ゴルフGTI という車は他の追随を許さないほどに優秀な車であり続けている。それゆえにV6エンジンを搭載するゴルフ R32という車は、5代目ゴルフのフラッグシップモデルでありながらその地位を確立することができなかった。
そんな状況を、6代目ゴルフは打開できるだろうか。フォルクスワーゲンは自然吸気V6エンジンを廃止し、代わりに GTI と共通の2.0L 4気筒ターボエンジンの出力を従来のV6エンジン以上まで向上させて搭載している。そうして誕生した新型モデルがゴルフRだ。
18インチアルミホイールや中央に寄ったデュアルエグゾースト、そして目を引くメタリックブルーのボディカラーのおかげで、ゴルフRはそれらしく見える。ホットハッチ純粋主義者なら、きっと派手な兄弟分のシロッコRよりこちらを気に入るだろう。
ゴルフRには6代目ゴルフGTI ではなく、5代目ゴルフGTI のエンジンをベースとしたハイチューン版が搭載される。エンジンブロックが強化され、シリンダーヘッドやターボチャージャーは専用品となり、ピストンやコンロッド、インジェクターも専用設計となっている。
結果、最高出力269PS、最大トルク25.2kgf·mというゴルフ史上最強のスペックを実現している。旧型R32は言うまでもなく、203PSの GTI にも大きな差をつけている。それに、エンジン音も素晴らしい。
ゴルフRのターボエンジンはR32のV6エンジンよりも環境性能が高く、燃費も良い。CO2排出量は257g/kmから199g/kmまで減少し、燃費はR32より1km/L以上改善して11.8km/L(MT車)となっている。オプションのDSG車を選択した場合、燃費は11.9km/Lまで向上する。
ゴルフRはかなり速く、GTI より速くなっているのは言うまでもなく、旧型R32と比べると走りが明らかに軽やかになっている。フォード・フォーカスRSほど過激で暴力的なわけではないのだが、逆に言えばそれだけ簡単にパフォーマンスを引き出せるということだ。
扱いやすさの最大の理由は新設計の4MOTIONにある。この4WDシステムは前輪のスリップを検知するとトルクの最大100%を後輪に送ることができる。また、スプリングやダンパーが新設計となり、スタビライザーやパワーステアリングは専用チューンとなっているため、GTI よりもシャープでダイレクトなフィールを実現している。
驚くべきことに快適性は犠牲になっていない。ただ残念なことに、3万ポンドもするフラッグシップモデルであるにもかかわらず、アダプティブシャシーコントロール (ACC) はオプションとなる。
試乗車にはACCが装備されていなかったのだが、それでも正確な走りを見せてくれた。快適性と操作性は見事にバランスされているのだが、オプションの19インチホイールを装備する必要性があるとは思えなかった。
試乗車はDSG車で、変速は早くて滑らかだったのだが、GTI ほど優秀には思えなかった。Dモードではショートシフト気味でどんどん高いギアに入る。Sモードではその真逆で、やたらとキックダウンしてしまう。
オートモードではなく、パドルシフトによる変速を行えば不満を感じることはないのだが、走り重視の車とはいえ、変速を車任せにしたいこともあるだろう。ゴルフの穏やかな性格を考えればなおさらだ。
技術を要するような道路であっても、ゴルフRはドライバーを動揺させることはない。ゴルフRの実力はドライバーに安心感を与え、これと比べるとFFの競合車が荒削りに思えてしまう。
立て続けで申し訳ないのですが、現行アクセラ2.2ディーゼルの記事があれば翻訳をお願いします。このクラスの国産車で一番の完成度の高さだと思うので。
auto2014
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