米国「CNET」によるシボレー・トラバースRSの試乗レポートを日本語で紹介します。


Traverse RS

2代目シボレー・トラバースにはたくさんの魅力がある。スタイリッシュだし、装備は充実しているし、室内空間は同クラスのどの3列シートクロスオーバーと比べても広い。最廉価グレードの「LS」から最上級グレードの「ハイカントリー」まで、どのモデルも人に薦められる車だ。ただし、スポーティーグレードの「RS」については存在意義がよく分からない。

まずはっきりさせてしまうが、トラバースRSはシボレーの他のRSシリーズとはまったく違う車だ。トラバース以外は、例えばクルーズやソニックの場合、RSパッケージに専用の外装パーツやRS用アルミホイールなどが装備される。ところが、トラバースRSは完全に独立したグレードとなっている。

トラバースRSにもRSらしい専用外装パーツや20インチのダークアルミホイールが装備されているのだが、それだけではなく、トラバースRSには他のグレードでは選択できないRS専用の2.0Lターボエンジンが搭載される。ここで問題となるのが2.0Lエンジンだ。このエンジンはパフォーマンスが優れているわけでもなければ、燃費が良いわけでもない。

2.0Tは最高出力259PS、最大トルク40.8kgf·mと十分な性能を発揮し、巨大なトラバースの心臓としても不足はない。RS以外に搭載される3.6L V6エンジンは出力 (314PS) は2.0Tより優れているものの、トルク (36.8kgf·m) はRSに劣っている。つまり、この2つのエンジンの実力は数字的には拮抗している。

rear

トランスミッションはいずれのエンジンにも9速ATのみが設定されるのだが、V6との組み合わせのほうが変速は滑らかで、2.0Tではときに変速がギクシャクすることがある。アイドリングストップシステムについてもV6よりも2.0Tのほうが粗く感じられる。

2WDモデルの場合、トラバースRSのEPA燃費はシティ8.5km/L、ハイウェイ11.1km/L、複合燃費9.4km/Lで、V6モデルではシティ7.7km/L、ハイウェイ11.5km/L、複合燃費8.9km/Lとなる。つまり、複合燃費では2台の燃費差は1km/L未満で、ハイウェイ燃費に至っては2.0TがV6に負けてしまっている。ちなみに、FF車しか燃費比較を行わなかったのは、RSに4WDが設定されないからだ。

パワートレイン以外ではRSと他のグレードに大差はない。走りはこのクラスのクロスオーバーSUVとしては平均的で、乗り心地はしなやかで快適だ。ステアリングは比較的軽くてフィードバックにも欠けているのだが、クルージングには適している。ただ、牽引性能では差が付いており、V6モデルの最大牽引重量が2,270kgなのに対し、RSの最大牽引重量はわずか680kgだ。

インテリアに関してもRSと他グレードで大きな違いはない。室内空間は広く、大人が3列どの席に座っても問題ないし、2列目および3列目シートを倒せば2,780Lもの荷室が生まれる。この数字は格上のタホよりも上だ。内装の質感は部位によってまちまちで、ダッシュボードやドアパネルに使われるソフトなレザーは上質なのだが、センターコンソールやウインカーレバーに使われるプラスチックは硬くて安っぽい。

interior

価格は43,595ドルで、装備が充実した中級グレード「3LT」の上に位置しているので、RSも装備は充実しており、シートヒーター付きレザーシートや2列目キャプテンシートは標準装備となる。8インチMyLinkナビゲーションシステムも標準装備で、これはグラフィックも良いしメニューはシンプルで使いやすい。

トラバースRSの問題点は外装パーツではない。むしろRS用パーツは魅力的で、デザインの良さを引き立てている。ただ、どうしてRSにV6よりパフォーマンスが優れているわけでも、燃費が特別優れているわけでもない2.0Lエンジンが組み合わせられてしまったのだろうか。それに、どうして4WDは選択できないのだろうか。この点を改善しなければ、せっかくのRSの良さは活かせないだろう。