オーストラリア「Sunshine Coast Daily」によるキア・セラートGTおよびピカントGTの試乗レポートを日本語で紹介します。
左から、セラートGT(ハッチバック)、ピカントGT、セラートGT(セダン)
キアは31,990豪ドルのセラートGTを発売した。セラートGTにはセダンとハッチバックの2種類が設定され、ターボエンジンが搭載される。オーストラリアのエンジニアによりチューニングされ、サスペンションはより硬く、ステアリングはよりシャープになっている。
加えて、キアは1.0L 3気筒ターボエンジンを搭載するピカントGTも発売した。こちらはマニュアルのみの設定で、価格は17,990豪ドルとなる。
キアのスポーツハッチバックといえば、2014年に登場した3ドアのプロシードを思い出す。プロシードはマニュアルのみの設定だったのだが、販売台数は少なく、現在は販売を終了している。
しかし、キアはそれから4年ちょっとの期間のうちに大きく成長を遂げ、現在ではオーストラリアで7番目に売れているメーカーとなった。キア・オーストラリアのダミアン・メレディスCEOは、今こそGT攻勢の絶好の機会であると考えた。
メレディスCEOは以下のように語った。
「今では国民の皆様にもかなり認知されており、ブランドの地位は以前よりもずっと強固なものになっています。特にブランドイメージの向上の役に立ったのがスティンガーです。スティンガーはオーストラリアで大成功しており、個人販売だけで見ればホールデン・コモドアを超えた月もありました。」
セラートGTの外観を眺めてみると、ブラックのサイドスカートやメッシュグリル、18インチアルミホイール、デュアルエグゾーストといった専用装備が目につき、インテリアにはアルミスポーツペダルやフラットボトムレザースポーツステアリング、パドルシフトなどの装備が用意されている。
運転席8ウェイパワーシート(2ポジションメモリー付き)や8インチインフォテインメントディスプレイ(Apple CarPlay、Android Auto、音声認識対応)、ワイヤレス充電、8スピーカーJBLプレミアムオーディオシステム、オートエアコン、フロントシートヒーター・ベンチレーターも標準装備となる。
セラートGTにはカメラとレーダー(ただしベースグレードはカメラのみ)を使用して歩行者および自転車を検知できる自動ブレーキシステムが装備されており、5つ星の安全評価を獲得している。他にも、レーダークルーズコントロールや前方衝突警報、レーンキープアシスト、ガイドライン付きリアビューカメラ、前後パーキングセンサーが装備される。
ピカントGTの装備内容はピカント GT-Line とほとんど同一で、スマートフォンミラーリング機能付き4スピーカーオーディオシステムや専用ボディパーツ、デュアルエグゾーストが装備される。
セラートGTの加速は激烈とまでは言えないものの力強く、十分に満足できる。1.6Lターボエンジンと7速DCTの組み合わせはヒュンダイ i30 N Line(34,990豪ドル)と共通だ。
セラートGTは乗り味が特に硬く設計されており、コーナリング性能が高められている。キア・オーストラリアの技術チームを率いるグレーム・ガンボルド氏は以下のように語っている。
「理想としてはアダプティブダンパーを装備したかったのですが、価格面の制約からそれは不可能でした。なので、快適性を取るか、走行性能を取るかという二択になり、我々は走行性能を取りました。」
セラートGTは地上高が標準のセラートよりも5mm低く、ミシュラン Pilot Sport 4 を履き、フロントには大径ブレーキが装備され、リアサスペンションはトーションビーム式からマルチリンク式に変更されている。コーナリング性能は非常に高く、ドライバーを危険に晒すことなく高い性能を発揮することができる。
キアは人工的に排気音の強調を行っているのだが、そのせいで加速時の排気音は変に聞こえてしまう。残念ながら聞こえてくる音はスポーティなものではなく、ざらついた砂利のような音だ。
ピカントGTはかなり楽しさが強調された車だった。田舎のワインディングロードを切り裂くように走る車というよりは、街中を軽快に飛ばせる車という印象だ。1.0Lの3気筒エンジンは元気があり、マニュアルトランスミッションのおかげで操作も楽しむことができる。
キアはフォルクスワーゲン・ゴルフGTI やプジョー 308 GTi が支配する神聖なる領域への進出を果たした。セラートGTは価格を考えれば装備も充実しているのだが、乗り心地の悪さには妥協が見られる。そして、タイヤが4つ付いたオートバイのような車が欲しい人にはピカントGTがぴったりだろう。
auto2014
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